神戸の児童、平和誓う 同郷・島田元知事へ献花


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島守の塔に参拝する児童ら=12日、糸満市摩文仁

 【糸満】神戸市内の児童養護施設に入所する児童38人が12日、糸満市摩文仁の県平和祈念公園内にある島守の塔を訪れた。同塔は、沖縄戦中に県知事を務め、激戦のさなかに本島南部で消息を絶った神戸市出身の島田叡(あきら)氏や県職員が祭られている。沖縄を初めて訪れた児童らは同塔に献花し、同郷の偉人へ思いをはせた。

 複雑な家庭事情を抱え、普段旅行などに行く機会が少ない子どもたちに沖縄を体験してもらう「14 笑顔と感動 KOBE夢・未来号・沖縄」の一環。神戸市内の商店街振興組合や企業でつくる「KOBE三宮・ひと街創り協議会」が主催。同協議会が数百万円の協賛金を出費し、毎年実施している。ことしで6回目。児童やボランティア、主催者ら関係者100人が11日に来県。沖縄美ら海水族館や首里城を観光した。
 楠元晶君(12)は島田氏と荒井退造県警察部長が隠れていたとされる同塔近くの壕を見学した。「こんなとこに入って、かわいそうだと思った。僕も島田知事のように頑張って人を助けられるようになりたい」と話した。
 同協議会の石井幸矢副会長(65)は「兵庫県と沖縄は島田さんとの関係もあり、ゆかりが深い。県民同士の交流を深め、子どもたちが平和の尊さや命の大切さを学んでほしい」と話した。