下地島空港に4月から休港案 県、今月中に方針


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 県土木建築部は14日、利用が低迷している県管理のパイロット訓練飛行場、下地島空港を新年度から「休港」させ、将来の再開に備えるとした方針案を仲井真弘多知事へ報告した。知事は訓練について誘致している航空会社との再調整を指示したという。県は今月中に方針を決める予定だが、航空会社との交渉状況や利用継続を求めている地元宮古島市の意向などによって流動的な要素も残る。

 同空港をめぐっては、維持管理費を支払ってきた日本航空が経営悪化に伴い、訓練を中止し2011年度限りで撤退したのに加え、全日本空輸も14年度以降は撤退も視野に利用を激減させる方針。大幅に収入が不足する見通しとなっている。
 国土交通省などによると、利用低迷に伴う年単位の休港となれば県内では初めて、全国2例目となる。
 14年度に同空港で訓練を予定、検討しているのは日本トランスオーシャン航空(JTA)など3社。新年度の維持管理費は本年度と同程度の約4億円が見込まれるが、3社が訓練しても利用料収入は5千万円以下とみられ、県が赤字分を負担しなければならない。
 一方、休港の場合も再開に備えるため年1億円の維持管理費が必要だ。県は、日航が撤退する際に維持管理費負担を定めた覚書の解約に伴う負担金を求め、日航は民事調停を経て解決金1億7千万円を支払った。県は全日空にも支払いを求める見通しで、全日空の支払額によっては14年度の負担額が減ることになる。
 全日空は県の訓練継続要請を受け、年数百回程度なら訓練できるとの方針を県に伝えている。ただ本年度まで年5千回前後の訓練を実施し、年単位の「定額制」としてきた利用料について、今後は利用回数に応じた「従量制」での支払いとする考えで、県の収入は激減することになる。
 琉球エアーコミューターは14年度も訓練を継続する計画を示しており、JTAは今秋以降に2カ月間限定で利用を検討している。(古堅一樹)