財源は既存予算内 名護基金、政府「地元調整で可能」


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 自民党の石破茂幹事長が16日、名護市長選に立候補している末松文信氏の応援演説の中で名護市に限定した500億円規模の「名護振興基金」を創設する構想を打ち上げた。ただ詳細は不明だ。石破氏の突然の表明に対し政府は、新たな財源措置ではなく、県全体に配分する一括交付金や、北部振興事業費などの既存予算の枠内で地元が調整すれば実現は可能とする説明を付け加えている。

 菅義偉官房長官は同日、(沖縄振興計画の終了年度の)2021年度までの8年間、毎年50億円交付する北部振興事業費と、一括交付金の中の北部地域分としての100億円程度を合わせれば対応できるとして、「(県、市町村など)関係者で調整すれば可能だ」との認識を示した。
 山本一太沖縄担当相も17日の会見で「基本的には県や市町村の主導で決まる」との見解を示した上で「与党から提案があれば真剣に検討する」と述べた。
 だが北部振興事業費は名護など北部12市町村に交付する予算であり、一括交付金の北部地域配分額も同様。これを名護に限った基金に活用するとの案は非現実的との見方も出ている。
 基金構想に対し、末松陣営はチラシを作成してその内容をアピール。末松氏は「(自身の)スエマツビジョンの実現に大きな役割を果たす」と歓迎している。
 一方の稲嶺進候補は、石破氏の構想表明について「行政のイロハを知る者にとってはおかしな話だ。県民だましの本性が現れてきている」と批判している。