最新機器で特産品を 県水産海洋技術センター


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調理殺菌装置を紹介する県水産海洋技術センターの山本隆司所長=21日、糸満市の同センター

 昨年10月に糸満市喜屋武に移転した県水産海洋技術センター(山本隆司所長)で、乾燥具材を減圧して急速冷凍するフリーズドライ商品やレトルト食品などの試作品が作れる加工機器の活用が始まっている。

これまでに県ミーバイ生産者販売促進協議会や八重山漁協、近海鮪(まぐろ)漁協などが利用しており、民間企業と連携している団体もある。民間が独自で導入するには多額の資金が必要で、センターは6次産業化などを目指す漁協や民間企業などに商品開発に向けた施設の利用を呼び掛けている。
 センターは移転と同時に最新機器を導入、以前と比べ幅広い加工法を可能にした。機器の整備費用は約3千万円。原料の解体など下処理をする1次処理室と、熱を加えたりする2次処理室がある。
 目玉の一つは、今回新たに導入したレトルト食品を作る調理殺菌装置だ。袋の中身をほぼ無菌状態にするためには、120度を4分間維持する必要があるという。同装置は袋に圧力をかけ、中身を150度まで高温にすることが可能だ。
 センターの大嶋洋行副参事は「水産物はほとんどが生鮮食品。そのため、生産者から常温で長持ちする商品開発への要望が多い」と導入の理由を説明した。
 その他、「煮る」「蒸す」「焼く」「揚げる」が1台で可能なスチームコンベクションオーブン、2月設置予定のフリーズドライ装置、冷凍した魚をカットできるサイレントカッターなども新規導入した。
 山本所長は「生産者自らが商品開発する6次産業化で、県産水産物の消費を伸ばし、利益も出してほしい。(高額の)新しい機械を入れてからの商品開発はリスクも高いので、まずは実験室で商品の基礎固めをしてほしい」と利用を呼び掛けた。
 機器利用の問い合わせは同センター(電話)098(852)4530。
(長嶺真輝)