山中、久保田が初V 石垣島マラソン


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 【石垣】第12回石垣島マラソン(主催・石垣市、市教育委員会、市体育協会、共催・琉球新報社)が26日、同市で行われた。新石垣空港開港後初となる大会で、過去最多の4251人が出場した。ランナーは南国の海風を切って力走した。

 同大会はフルマラソン、23キロ、10キロの3部門で競った。完走率はフルマラソン93%、23キロ86%、10キロ96%だった。フルマラソン男子は山中裕司(埼玉)が2時間34分43秒、女子は久保田文が3時間0分58秒でそれぞれ初優勝した。
 石垣島の26日の最高気温は21度。午前のスタート時は雨が降ったものの、大勢がゴールする昼すぎには青空が見えた。沿道では応援の市民が太鼓をたたいたり民謡を踊ったりしてランナーを元気づけていた。

◆気持ち良く独走 山中
 石垣島マラソン初出場の山中裕司(埼玉)は「先月の福岡国際マラソンの疲れが残っている」と言いながらも、序盤で抜け出し、そのまま優勝をさらった。「まさか優勝できるとは思っていなかったので、素直にうれしい」と、遠征での優勝を喜んだ。
 23キロの選手と同時スタートでコースも15キロ地点まで同じだったため、序盤は前を走る23キロの選手を追い掛ける展開と勘違い。「ゼッケンの色が違うからおかしいと思っていたら、いつの間にかトップにいた」と話し、照れ笑いを浮かべた。
 出走前、「前半はペースを抑え気味にして、後半まで持たせようと思っていた」という山中。自己ベストには届かなかったものの、想定通りの走りで「まずまずのタイム」に納得の表情を浮かべた。
 初めて走ったコースの印象は「歯応えがある」。アップダウンや上り坂での向かい風に苦戦しながらも、終わってみれば2位に7分以上の大差をつける独走。「後ろからあおられるプレッシャーがなかったので、気持ちよく走ることができた」と振り返った。
 マラソンは社会人になってから知り合いに誘われて始めた。競技歴は約15年で、平日にインターバルトレーニング、週末に30~40キロを走るトレーニングをこなす。各地を転戦し、今季は昨年10月の宮古島マラソンでも優勝を経験。沖縄での連勝に相性の良さを感じていた。(稲福政俊)

◆久保田、フルで念願の栄冠 毎日鍛錬、さらに高み目指す
 ゴールの瞬間、積年の思いが満面の笑みになってはじけた。フルマラソン女子優勝の久保田文(竹富町)は「念願の優勝。本当にうれしい」と声を弾ませた。過去の石垣島マラソンではフルマラソン3位が2回、2位が3回と辛酸をなめていただけに、優勝の喜びは誰よりも大きかった。
 地元・八重山の大会では上位の常連。八重山最大の石垣島マラソンでも23キロ、10キロの部で優勝経験があるが、フルマラソンだけは一歩届いていなかった。
 途中まで23キロの選手も同じコースだったため、順位が不明なまま走り続けた。コースが分かれる15キロ地点を過ぎたところで、沿道から「トップだよ」と声が掛かり、初めて優勝のチャンスがあることに気付いた。
 「沿道の声を聞いて、うれしいというよりは逃げないと、と思った。とにかく必死。死ぬ気で走った」と久保田。必死の久保田に風も味方した。終盤の上り坂は追い風でペースを落とさずに力走できた。
 ことし50歳を迎えるが、昨年12月の大会で自己ベストを記録し、衰え知らず。居住地の竹富島ではほぼ毎日走って、さらなる高みを目指している。「目標は50歳を過ぎても自己ベスト更新」と意欲を見せた。(稲福政俊)

他の追随を許さず、堂々の1位でゴールする山中裕司(埼玉県)=26日、石垣市中央運動公園陸上競技場(金良孝矢撮影)
喜びを爆発させ、ゴールテープを切る久保田文