宮古、逆転逃げ切り 沖縄一周市郡対抗駅伝最終日


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 県知事杯第37回沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会は最終日の26日、14市郡が参加して国頭村役場前から那覇市の奥武山陸上競技場まで14区間130・1キロで争い、初日3位の宮古島市がトップでゴール、通算16時間48分18秒で25年ぶり6度目の栄冠をつかんだ。

2位は16時間48分30秒の那覇市、3位は16時間51分26秒の国頭郡が入った。男子の部は国頭郡、女子の部は中頭郡が1位となった。躍進賞は昨年の記録を26分10秒上回った浦添市が獲得した。

<レース展開>
▽最終日前半
 2日目スタートの17区は宜野湾、国頭、那覇などが集団を形成。2キロすぎで出た宜野湾がトップで通過した。国頭、八重山などが追う展開。18区は宜野湾を国頭、八重山、那覇、宮古島が吸収。国頭と那覇が前に出て同時にたすきをつないだ。19区は国頭が先頭に立ち、少し離れて宮古島、那覇が追った。20区は国頭が首位を守り21区へ。前半最終の21区は国頭、那覇、宮古島の順でゴールした。

▽最終日後半
 後半最初の5区間は女子区間。スタートの22区は、浦添、国頭が先頭争い。浦添が引き離し、国頭が続いた。23区は中頭が4位から一気に先頭に立った。24区は八重山が首位を奪い、25区も順位を守ったが、女子最終の26区は中頭が先頭を奪い返した。27区も中頭がトップを守り、宮古島、那覇などが続いた。28区は中継を出てすぐ宮古が中頭を抜き去りトップ。中頭、那覇と続く。宮古島が29区も先頭を守り最終30区は1位でゴール。那覇、浦添、八重山と続いた。

◆宮古 1秒大切に一丸力走
 30区間292・3キロを走り抜いた結果は、わずか12秒差。宮古島が逆転で那覇との激戦を制した。
 初日を終えてトップの那覇との差は2分37秒。2位の国頭郡も2日目前半を制すなど、強力なライバルだった。
 流れを引き寄せたのは、後半連続して区間賞をもぎ取ったエース級3人の力走だ。実業団で活躍する仲間千華(愛知電機)が女子最終区で、自らの記録を塗り替える区間新の走りを見せ、後半7位から4人抜き。
 さらに黒島昌樹(宮古特別支援学校)が順位を一つ上げて2位とし、與那嶺恭兵(琉球物流)がトップを奪った。
 女子区間から波に乗ることを狙い、「後半に逆転して逃げ切る」と話していた本村邦彦監督の作戦が当たった形だ。
 アンカー仲間正彦(福祉事業団)は差を詰められながらも「ここで負けるわけにいかない」と首位を守り、倒れながらゴール。與那嶺は「一人一人が1秒を大切に走り抜いた」と、たすきをつないだチームの思いを代弁した。
 主将の黒島は「優勝できるチームづくりをやってきた。自信を持って自分の走りをすれば結果はついてくる」と力を込めた。
 この春に定年退職となる監督に優勝をプレゼントしようとチームで誓った今大会。歓喜の輪に胴上げされた指揮官は「心一つにできた。最高です」と笑顔で語った。
(宮里努)

◆わずか12秒、初V成らず 那覇2位、激走及ばず
 1位との差はわずか12秒。初優勝をつかみかけた那覇だったが、最終日終盤を快調に進んだ宮古に競り負けた。
 最終30区にたすきがつながった時、トップを走る宮古はすでに視界から消えていた。それでも、総合順位はまだ分からない。アンカー尾尻琢磨(那覇市役所)は栄冠に向け「絶対優勝する」とつぶやきながら、ゴールまで闘志を切らさず激走した。
 尾尻は前日の区間新記録に加え、区間1位の好タイムでゴール。それでも総合順位が最後まで分からず緊張した時間が流れたが、吉報は宮古へと告げられた。
 「悔しい」-。涙を浮かべ、優勝を逃した現実を誰よりも悔やんだのは倉岡弁慶選手兼監督(あらがき貸衣裳)だった。2日間で2区間25・1キロを走り、走者としての仕事を終えた後は、自ら声を張り上げ選手らを鼓舞し続けた。
 準優勝。それも、わずか12秒の僅差だった。倉岡は「来年は意識して1秒を削りたい」と、目を赤くしながらも前を向く。尾尻は「神様がもっと速くなれと言っている」と、自分に言い聞かせた。悔しさをバネに、チームはさらに強くなる。まだ見ぬ頂点を目指して。(仲本文子)

2日目後半、第27中継場で與那嶺恭兵(右)にたすきを渡す黒島昌樹=26日、恩納村博物館前(桑原晶子撮影)
星野勢七からたすきを受け取り、走り出す那覇28区の菅沼伸哉=26日、恩納村博物館前(桑原晶子撮影)