【チャイナ網路】義務教育の現状


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 「〈問題〉担任の先生がお医者さんと結婚することになりました。2人に贈るカードに書くのに最も適した言葉は次のどれでしょう? (1)鳳凰于飛(2)杏林春暖(3)春風化雨(4)椿萱並茂」。昨年、9年生を対象に行われた「基礎学力測試」の国語の問題だ。
 台湾の義務教育は日本同様9年間だが、2001年から「9年一貫課程」が始まり、中学3年生は9年生と呼ぶようになった。さすが漢文を生んだ国だけあって、15歳に求められる故事成語の知識も侮れない。
 教育改革でゆとり教育を打ち出し、全人教育の理念の下、芸術やスポーツも見直されたが、受験地獄は相変わらず。むしろ、芸術やスポーツの塾にまで通い始める過熱ぶりだ。全体の学力が落ちる一方で、経済力の格差による学力の二極化が顕著になりつつある。
 先日、政府は2年後に義務教育を12年に延長すると発表した。性急で矛盾だらけの改革は、小中学校の問題を解決することなく、ただ高校へと持ち越すことになるだろう。
 さて、最初の問題の答えは(1)(夫婦が仲睦まじい様子を表した言葉)。(2)は医師、(3)は教師、(4)は両親に贈る言葉でした。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)