<インタビュー>映画「風と海と恋と」 名護の魅力 全国へ発信


社会
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 【名護】地域活性化の起爆剤として期待され、名護市で撮影が進む映画「風と海と恋と」に出演する女優の波瑠さん、俳優の小柳友さん、監督の大谷健太郎さんが3日、名護市の印象や映画の見どころを語った。映画を通して全国に発信される名護の魅力などを聞いた。

<大谷健太郎監督>「緑と縁」そのまま話に
 ―エンターテインメントでありながら地域活性化も映画のテーマだ。
 「一から話をつくるのが魅力的だった。プロデューサーや脚本家を含め、みんなで魅力的な人物をつくれるか、楽しくいいチャンスだった。地域活性というテーマもあり、30、40代の女性に魅力あるまち、ならば恋愛だろうと。恋愛映画がデビューなので、原点のスタイルをやれば充実した作品になると思った」
 ―名護の印象を。
 「春をすごく感じている。緑の芽吹く季節が一番好きだが、今まさに名護は春。名護での春の訪れが、これほどまでに人を気持ちよくさせることに驚いた」
 ―スクリーンに名護の風景を切り取る、という話もあった。
 「ロケハンで見たこと、感じたこと、出合った瞬間にいいなと思えたことをそのまま話に反映させた。役者さんもスタッフも名護を体感しながら撮影しているので、つくっているというより、ありのままの自然を記録している感じでもある」
 ―市民と一緒につくるのもコンセプトの一つだ。
 「市民オーディションに赤ちゃんから93歳のおじいちゃんまで来てくれた。まち全体のテーマが『緑と縁(えにし)』。市民との出会いがあって、自分たちもそれを感じながら撮っている。見る人にもそれを感じてもらえるだろう」

 ◇大谷健太郎(おおたに・けんたろう) 1965年、京都府出身。「NANA」や公開中の「黒執事」など作品多数。

<女優・波瑠さん>生活の場 新たな発見
 ―名護の温かさを感じるエピソードがあれば。
 「ロケでは誰も嫌な顔をせず、皆さん、笑顔で楽しんでもらいながらエキストラとして参加している。そんなところに温かさを感じる」
 ―主役の平良みずほを演じる。大切にしている気持ちは。
 「名護という場所に来ている分、そこにいて、ちゃんとそこで呼吸をしている人としてありたいと思っている。今までそこにいた人になれるよう心掛けている」
 ―沖縄料理が大好きとか。
 「アオサが大好き。ソーメンチャンプルーは食堂に行ったら必ず注文します。炊き出しで作ってもらった雑炊にヨモギが入っていて、不思議な風味は食べたことなかったが、おいしかった」
 ―映画は名護市の活性化という目的もある。名護市のイメージは。
 「今までは観光地としてしか沖縄に来てなかった。沖縄の人が生活している場所に来られたと感じている。観光客が行かない店とか、新しい発見があった」
 ―ここを見てというアピールを。
 「名護にいるから撮れる絵があって、呼吸して、名護の風を感じて、できるお芝居があると思う。4人の少ないキャストの話なので、リアルな時間の動き方だったり、心の揺れだったりとか、感じ取ってもらえたらと思う」

 ◇波瑠(はる) 1991年、東京都出身。映画「清く柔く」やドラマ「救命病棟24時」など多数に出演している。

<俳優・小柳友さん>「いろんな顔」演じる
 ―撮影中、名護で毎朝走っているそうですね。
 「4キロほどでしょうか。早い時間なので外は真っ暗ですが、本当に星がきれいです。走ってて毎回楽しく、発見があるので、気持ちいい朝を迎えられています。頭がすっきりして撮影も気持ちよくできる」
 ―泡盛が好きだとか。
 「撮影中は禁酒しようと思いましたが、ご飯がおいしく、目の前にオリオンビールがあるので飲むしかない。名護のお酒では國華がおいしいですね。まだ蔵に行っていないので行ってみたい」
 ―小柳さん演じる隼人の魅力は。
 「ミステリアスなところにひかれてもらえればいいかなと思う。心に傷を負って、自分に壁をつくって、うその仮面をかぶっているような人なので、一言では表せない男。逆にお客さんも一緒になって探ってもらえたらいいですね。一つのキャラクターに決めないで、いろんな顔をしてやれたら、と思っている」
 ―名護市民へアピールを。
 「皆さんにほれられる男にならないといけないので頑張っている。沖縄が大好きで、さらに好きになりました。名護がこんなにいいまちであることを伝えること、いい芝居をすることで、大好きな名護に恩返しできるよう、東京でも頑張りたい。ぜひ劇場に足を運んでもらえれば」

 ◇小柳友(こやなぎ・ゆう) 1988年、東京都出身。ドラマ「ミス・パイロット」出演はじめ映画、舞台でも活躍。

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