中部和牛組合設立へ 4月、若手の生産意欲向上


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和牛改良組合設立への期待を語る県中部地区肉用牛生産協議会の瑞慶山良雄会長(左)と文三牧場の安慶名米昭代表=7日、うるま市の文三牧場

 本島中部地区の6市町村は4月、「中部地区和牛改良組合」を設立する。和牛改良組合は県内8番目で、中部地区では初めて。母牛の出産間隔や肉質など細かなデータがそろったことに加え、全体の3割を占める若手農家の生産意欲の高まりが背景にある。個々の農家が情報交換できる場をつくり、地区全体の改良技術の発展につなげる。

 組合はうるま市、沖縄市、読谷村、西原町、嘉手納町、宜野湾市の農家338人で構成。そのうち113人が40歳以下だ。母牛(18カ月以上)の飼養頭数は3801頭で、2013年度の子牛生産頭数は2729頭を見込む。全国和牛登録協会(京都市)が1月28日に設立を承認した。
 中部地区は兼業農家が多いことなどから、これまで改良意欲が他の地区と比べて低かったという。設立のきっかけは11年の第37回県畜産共進会。肉用牛の全4部門で入賞したうるま市が団体賞を受賞したことで、設立の機運が高まった。
 組合長を務める県中部地区肉用牛生産協議会の瑞慶山良雄会長は「2年をかけて準備してきた。今は育種価(遺伝的能力評価)などデータも多い。若者が夢と希望を持てる産業にしたい」と意欲を見せる。
 今後の課題は草地面積の確保だ。母牛1頭の粗飼料を賄う必要面積は12・8アールだが、中部地区は5・5アールにとどまる。輸入飼料の増大で経営が圧迫され、頭数の増加が難しくなる。
 一方、「霜降り」の度合いを示す脂肪交雑(BMS)は県の平均値を保つが、重量は県平均を下回っており、改善の余地がある。組合では今後、定期的に総会や講師を招いた講習会などを開催し、課題解決に取り組んでいく。
 13年の第39回県共進会肉用牛部門で、最優秀賞に当たる農林水産大臣賞を受賞した文三牧場(うるま市)の安慶名米昭代表は「全国の共進会に出場するのが夢だ。若い子たちに良い結果を示せれば、後継者育成にもつながる」と発展を誓った。(長嶺真輝)