県は、ものづくり企業の活性化や6次産業化の推進を図るため、県内金融機関などと共同出資した官民ファンドを10月にも立ち上げる。企業が新規事業を始めやすい環境と資金の供給体制を整備し、ものづくり産業の振興を図る。
県から委託を受けた県産業振興公社と金融機関が有限責任事業組合を設立・運営し、融資ではなく株式の取得で企業に出資する。ものづくりや投資に詳しい専門家らでつくる「アドバイザリーボード」を設け、助言や監視を受けながら事業を進める方針。県内中小企業の情報蓄積や実態把握を図り、企業支援のノウハウを構築する狙い。
県は2014年度の新規事業として一括交付金12億8千万円を計上。県産業振興公社を通して12億6千万円、県内金融機関からの2億7千万円と合わせ、総額15億3千万円のファンドを設立。1社当たり上限1億5千万円を投資する。
県内の中小零細企業はこれまで、具体的な事業計画があっても担保がないなどの理由で資金調達ができず、新規事業を展開できない事例も多い。ファンドの出資金は、使途が定められた補助金と違って自由度が高く、設備投資など柔軟な使い道が可能になる。
県工業連合会の桑江修専務理事は「企業にとって、補助金1千万、2千万円でできなかったような新しい事業に挑戦できる。沖縄を変えるイノベーション(技術革新)につながるきっかけになる」と展望する。
沖縄銀行は事業組合に参画する意思を示しており、中長期的に県内企業の成長を支援する考え。担当者は「それぞれの金融機関同士の連携が図れ、横のつながりができる。組織的に企業を支援でき、地域経済活性化につながる」と話した。
事業組合は22年3月までで、出資を受けた企業は、原則的に株式を買い戻して返済する。
(阪口彩子)