鉛74倍、ヒ素21倍 宜野座ヘリ墜落現場で土壌汚染


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米海兵隊太平洋基地環境課は18日、昨年8月に宜野座村のキャンプ・ハンセン内で起きた空軍嘉手納基地所属HH60救難ヘリ墜落地点の土壌調査において、日本の土壌汚染対策法で定める環境基準値の74倍の鉛(1リットル当たり0・744ミリグラム)や21倍のヒ素(同0・215ミリグラム)を検出したと発表した。

いずれも「航空機の残留物質の可能性がある」とした。米軍による汚染土除去が完了する19日以降、墜落地点で県と村の初の立ち入り調査が実施される。事故から半年、汚染土除去後に立ち入りが可能となったことに、宜野座村からは「除去後に入っても本来の現場は分からない」と批判の声が上がった。
 調査では、墜落地点から約70メートル離れた大川ダムと付近の小川の水質調査では基準値超過はなく、「米政府は大川ダムの水は安全だと判断した」と結論した。
 空軍は昨年10月から12月にかけて米環境保護庁の手法で墜落地点の土壌を採取、分析した。
 墜落地点から除去した汚染土は、米国防総省の日本環境管理基準に従い、処理される。宜野座村は、「汚染土は米本国に持ち帰る」と沖縄防衛局から説明を受けたという。今後も米軍の再調査や墜落地点の緑化が予定される。
 県環境保全課は「米軍から汚染土除去後なら立ち入り可能であるとの連絡があった。立ち入り調査は終始一貫求めてきた。一日も早く調査しなければ、大川ダムの取水制限が続いている宜野座村民の不安を払拭(ふっしょく)できない」と語った。
 事故後、県環境保全課は墜落地点の立ち入りを求めてきたが、実現しなかった。宜野座村は12月に初めて墜落地点に入ったが、撮影のみで調査は許可されなかった。これまでに県、村が実施した周辺の調査では、異常値は検出されていない。
 調査結果は、沖縄防衛局がホームページ上で公表した。
英文へ→Soil contaminated with harmful substance at U.S. helicopter crash site