岩礁破砕に知事権限 農水部長、百条委で証言


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(左から)県議会百条委で答弁する県の當銘健一郎土木建築部長、県議会百条委で答弁する県の山城毅農林水産部長=20日、県議会

 仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認について検証する県議会の調査特別委員会(百条委員会)の集中審議2日目は20日、當銘健一郎土木建築部長と山城毅農林水産部長への証人喚問を行った。

山城氏は埋め立てに関して、岩礁を砕く場合や埋め立てのための海砂を採取する際、知事の許可が必要であることを明らかにした。県漁業調整規則で定められている。埋め立ての着工後に海底のサンゴを移植する際にも知事の許可を得る必要がある。
 政府は今後、埋め立てに向けた作業を進める考えだが、着工への影響が必至の知事権限として、許可の是非が新たな焦点となりそうだ。21日は仲井真知事への喚問が行われる。
 県外移設を主張してきた県政が、審査の最終結果では辺野古移設が「合理的」であると一変した経緯について、當銘氏は庁内での検討経過を示す「会議録、調整記録は作っていない」と述べ、作成をしていないと強調した。百条委は強制力のある提出要求をしているが、県からの調整メモの提出は20日もなかった。
 昨年11月の知事への中間報告で県外移設を「合理的」と評価していたことについて、當銘氏は「そういうことを県が主張していたと(中間報告に)書いただけ」と説明した。野党側は辺野古移設を評価するに至った経緯を問いただしたが、答弁はかみ合わなかった。
 承認を判断した後に求めるべきである環境保全の留意事項について、野党は當銘氏が1月臨時会での答弁で「留意事項として保全措置を行えば適合する」などと、承認の条件と説明していたと指摘し「法令違反に当たる」と批判した。
 これに対して當銘氏は「承認後に(留意事項を)付した。答弁に分かりにくいところや誤解があった」と述べ、問題はないとの認識を示した。
 環境生活部が「環境への懸念が払拭できない」としていることについて當銘氏は「懸念が払拭(ふっしょく)されていないことのみをもって不適合とはできない」と証言した。