選挙費公示義務知らず 金武町選管、過去も記録なし


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 【金武】公職選挙法で義務付けられる選挙運動費用収支報告書を、金武町議選の一部立候補者が提出していなかった問題に関し、金武町選挙管理委員会が2012年の町議選後、立候補者から提出された報告書の要旨を公示していなかったことが27日、分かった。

公選法では、同報告書の提出を受けた選管に、閲覧とは別に掲示板などでの要旨の公示を義務付けている。町選管は公示手続き自体を知らなかったといい、過去の町議選でも要旨を公示してこなかった可能性があるという。また、12年の町議選立候補者1人の報告書が所在不明になっていることも分かった。
 町選管によると、町議選立候補者が同報告書を長期間提出していなかったなどの報道を受けて、選挙事務を点検したところ、要旨の公示手続きがあることに気づいたという。過去の選挙でも要旨を公示した記録はないという。
 都道府県選挙管理委員会連合会によると、同報告書の提出期限後に要旨を公示することで未提出者が明らかになり、マスコミや市民オンブズマンから立候補者が追及されるケースがあるという。町選管は「公示していれば、今回の問題を早期に解決したり、未提出自体を防げたりしたかもしれない」と述べた。
 一方、所在不明になっているのは、町議選に立候補した宜野座武氏の報告書。選管職員は「受け取った認識もある」としているが、宜野座氏の提出書類をまとめたファイルには報告書が保存されていないという。報告書の受領証も作っていないため、未提出とも判断できない状態だ。
 宜野座氏によると、「選挙後、選管から書き方を習って提出したと思うが、1年以上たっているのではっきり覚えていない」と述べた。町選管は今後、宜野座氏と対応を協議するという。(嘉陽拓也)