『アナと雪の女王』 Wヒロインで王道のミュージカル


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 先日のアカデミー賞で、『風立ちぬ』を抑えて長編アニメ賞に輝いたディズニー映画だ。アンデルセン童話『雪の女王』から着想を得た話で、幼い頃は仲良しだった王家の姉妹が絆を取り戻すまでが描かれる。

 本作の見どころは、大きく3つ。まずは、歌によって物語が展開される王道のミュージカルである点。トニー賞&エミー賞&グラミー賞の受賞歴を誇る作曲家陣とミュージカル俳優たちのコラボこそが、オスカー受賞の最大要因ではないだろうか。次に、息を飲むほど美しい雪と氷の世界観。特に寒色系で無機質、さまざまに形を変化させる氷は、CGと本当に相性がいい。そして最後は、ディズニーの十八番であるプリンセスもの(しかも今回はタイトル通りWヒロイン!)の洗練された語り口、ドラマツルギーのうまさである。
 同様に童話を下敷きにした王女の冒険譚だった近作『塔の上のラプンツェル』とは、 “トリックスター”が人間でない(『~ラプンツェル』では白馬で、今回は雪だるま)など細部に至るまで共通項が多いが、ミスリードの巧妙さでは本作が一枚上手。もちろんネタバレになるので詳しくは書かないが、二重に張ったミスリードの2つ目が解かれる時、観客の多くが、この映画のテーマを改めて実感することになるはずである。★★★★☆(外山真也)

 【データ】
監督:クリス・バック
監督・脚本:ジェニファー・リー
声の出演:クリステン・ベル(神田沙也加)、イディナ・メンゼル(松たか子)
3月14日(金)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

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外山真也