権利「濫用」は開示拒否 那覇市が情報公開条例改正案


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 那覇市は「市情報公開条例」で、利用者に社会通念上適正な権利行使と認めることができない公開請求があった場合は、権利の「濫(らん)用」として公開を拒否できる条文を盛り込んだ改正案を、開会中の市議会に提案している。請求する側の濫用に触れる条例制定は、県内自治体で初めて。

改正案に対して、識者や議員から「市の方針が後退したのではないか」と疑問の声が出ている。25日の最終本会議で可決されれば、7月から施行となる。
 那覇市は1988年に情報公開条例を他の自治体に先駆けて定め、基本的人権として「知る権利」を保障するなど内容が評価されてきた。2012年度には582件の公開請求があった。
 改正案4条では「利用者の責務」として「公開を求める権利を濫用してはならない」と新たに定め、11条で権利の濫用に対して実施機関は「請求を拒否することができる」と記した。
 沖縄国際大の前津栄健教授(行政法)は「情報公開条例の基本は何人も公開を請求できる点だ。改正すると濫用を理由に入り口でシャットアウトしかねない。条例の根幹に関わる部分をなぜ、今変えなければいけないのか」と指摘する。
 那覇市は「公開請求を繰り返すが、取りに来ないなど、趣旨と違う請求が全国的に問題になっている。決して後退ではなく、時代に合わせた改正だ」と主張。実施機関が恣意(しい)的に運用しないよう、濫用は請求者の言動、内容などから(1)目的が公開以外にある(2)公開を受ける意思がない-と限定し「拡張して解釈してはならない」としている。
 市議会では前泊美紀氏(無所属の会)が2月28日の一般質問で、「大原則に触れる条例は必要最低限にするべきだ」と強調した。