国家戦略特区に沖縄指定 観光・研究の国際拠点目指す


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 【東京】政府は28日、地域を限って規制緩和する国家戦略特区の第1弾に沖縄県を指定することを決めた。地域特色を生かした国際的な観光地の形成や、沖縄科学技術大学院大学(OIST)を中心にした研究開発の国際拠点化を目指す。指定には沖縄経済の活性化に取り組む姿勢を示すことで、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設への理解を得たいとの安倍政権の思惑もある。

政府は今後、県などとの会議を設け、具体的な規制緩和策を決定する。早ければことし夏から特区を順次スタートさせる。
 指定では県内で取り組む施策として、ダイビングや空手などの地域資源を活用した観光ビジネスの振興、査証(ビザ)要件を緩和して外国人観光客が入国しやすくすることを掲げた。入国管理手続きの民間委託による迅速化も挙げた。
 ビザ要件の緩和については今後、必要に応じて法改正などを行う。
 新藤義孝総務相は記者会見で沖縄を指定した理由について、「東アジアの中心にある地理的特性、日本一高い出生率、潜在力といったものが日本のフロントランナーとして日本経済のけん引役になるとの期待がある」と述べた。
 今回、県などが求めていたカジノを含む「統合リゾートの導入」が規制改革事項になかったことには「まだいろんな調整が必要だ。国会内の議論もある」と述べ、今後の検討課題とした。
 県は昨年、全国公募の「国家戦略特区」プロジェクトに応募。「世界水準の観光リゾート地形成プロジェクト」「沖縄科学技術大学院大学リーディングイノベーション・プロジェクト」、カジノを含む「沖縄統合リゾートの導入」の三つを提案した。
 実現に向けて県は出入国関連施設(CIQ)での手続き迅速化や潜水士試験の外国語対応、OIST研究者の家族滞在ビザ要件緩和、外国人医師による外国人向け医療―などの規制改革の必要性を求めていた。

◆知事「高く評価」
 仲井真弘多知事は28日、国家戦略特区に沖縄が指定されたことについて「指定を高く評価したい。一層の発展に向けて制度を活用し、しっかり取り組んでいきたい」との談話を発表した。また取材に対し「政府は沖縄に対する対応をよくやっていただいた。ありがたいことだ」と述べた。

<用語>国家戦略特区
 地域限定で規制緩和や減税を実施し、国内外の企業の投資や人材を呼び込んで、経済活性化につなげる制度。地域振興を目標とした従来の特区制度とは違って、国主導で国際競争力が高い拠点づくりを目指すのが特徴。制度の概要は昨年成立した国家戦略特区法に定められているが、詳しい事業計画は政府と自治体などの会議でまとめる。経済効果を定期的に検証し、成果が出ていない場合は指定を取り消す場合もある。