【チャイナ網路】本屋で夕食を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 台北市の誠品書店信義店の最上階には4軒の飲食店がある。本屋の食堂などと侮るなかれ。「泰市場」は5つ星ホテル出店のタイ料理店。「ザ・ライブラリー」は“台湾で最も知的”とも歌われるラウンジ・バー。「ブルゴーニュ」は本格フレンチだ。
 お気に入りは「1010(テン・テン)新湘菜」。バーカウンターがしつらえられたガラス張りの店内は、一見カフェのたたずまいだが、実は本格湖南料理のレストランだ。上海で技を磨いたというシェフが繰り出す激辛料理に“お子様”への妥協など微塵(みじん)もない。
 オススメと聞いて注文した「覇王魚頭」は湖南伝統の名物料理。レンギョの頭を2つに割り、1年酢に漬け込んだ野生の山椒(さんしょ)とトウガラシのみじん切りを塗って蒸し上げる。香辛料の荒々しい酸味と柔らかな白身とのハーモニーが、官能的なほどに美しい。ただの白飯まで1わん1わん素焼きの茶わんで蒸し上げるこのこだわり。若い店員の笑顔も心地よい。値段は意外に庶民的。週末は本屋同様午前2時までの営業だ。気に入った本やCDを片手に、本屋でディナーなどいかがだろうか?
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)