県春季高校野球きょう決勝 糸満―宜野座


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 第61回県高校野球春季大会(主催・県高校野球連盟、共催・琉球新報社)第9日は2日、北谷公園野球場で準決勝があり、糸満が3年ぶり7度目、宜野座が10年ぶり4度目の決勝進出を決めた。

糸満は終盤に集中打を浴びせ、計10安打で石川を5―2で下した。先発・知念諄也の粘投が光った宜野座は2―1でコザに競り勝った。最終日の3日は、同球場で午後1時から決勝を行う。

◆糸満 底力で勝利/好投赤嶺、終盤に援護
 窮地で踏ん張り、終盤に畳み掛ける。糸満が百点満点とは言えないまでも、底力で勝利をもぎとった。守備で4失策。上原忠監督は「勝った、ということが今日の収穫」と息をついた。
 「もっと上手に攻められれば、早い回でリズムに乗れた」と指揮官が言うように、四回までは得点圏に進めた走者を生かせないもどかしい展開。勝利の布石になったのは先発・赤嶺祥吾の粘投だ。一回を3者連続三振で発進すると、以降もストライク先行の投球を見せ、要所は鋭いスライダーでバットに空を切らせた。
 エースの力投に応じるように、打線も奮起した。五回1死一、三塁に岡田樹のスクイズで1点を先制すると、七回には新垣僚麻の右越えソロ本塁打で加点。八回は3安打で2点、九回は再び岡田のスクイズで1点を挙げて引き離した。
 準々決勝はわずか1得点の打線。準決勝では中盤以降、ボールの見極めを徹底し、高めに浮いた球を捉えた。2打点の岡田は「前回は打席の中で考えてしまったが、今日は打席に入る前に想定してその通りにできた」と胸を張った。
 シードで臨んだ秋季大会は初戦敗退。悔しさを胸に、冬の鍛錬を積んだ。「春の優勝を目標にやってきた。決勝は楽しく堂々と、糸満らしい野球をする」と赤嶺。この日の勝利を勢いに変え、3年ぶりの王座奪還に挑む。(大城周子)

◆宜野座 接戦制す/粘投知念 凡打の山
 変化球には自信を持っていた。だからこそピンチでも迷うことはなかった。2点リードで迎えた七回。2死満塁の場面で、宜野座の先発右腕・知念諄也はコザの1番仲本悠人を打席に迎えていた。三回に長打を許した相手への決め球はカットボール。「完璧な投球だった」。詰まった当たりは内野安打になったが、内野の好守備もあって最少失点で切り抜けた。
 背番号は11。エースナンバーを背負う伊保拓海が本調子ではないため今大会は先発を任された。「監督が自分を信用してくれている。やってやろうと思った」。ベンチで見守る伊保の思いも背負って準決勝のマウンドに上がった。
 直球の最速は120キロ中盤ながら、変化球はカーブやスライダーなど多彩だ。この日は「自信がある」と語るカットボールがさえていた。初回から低めに集めて凡打の山を築かせた。三回に高めの直球を中堅フェンス前に運ばれたが、後続を変化球で内野ゴロに仕留めた。「打たれた責任を取ろうと思った」と負けん気の強さをのぞかせる。
 八回まで散発の6安打で1失点。先発として十分すぎる仕事をして、最終回は山川慶人にマウンドを託した。春の頂点まで1勝。「次も投げるつもりで気持ちをつくる。きょうのような投球ができれば大丈夫だ」。マウンドでつかんだ確かな手応えを決勝の舞台でもぶつけるつもりだ。(平安太一)

<きのうの結果>
▽準決勝
糸満 5―2 石川
宜野座 2―1 コザ

<きょうの試合>
▽決勝
【北谷】13時
糸満―宜野座

石川―糸満 9回糸満1死二、三塁 スクイズを決める岡田樹=2日、北谷公園野球場(諸見里真利撮影)
宜野座―コザ 切れのあるカットボールを武器に凡打の山を築かせた宜野座の知念諄也=2日、北谷公園野球場(花城太撮影)