糸満3年ぶり頂点 県春季高校野球


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6回糸満1死一、三塁 岡田樹のスクイズで本塁に生還する松堂睦之=3日、北谷公園野球場(諸見里真利撮影)

 第61回県高校野球春季大会(主催・県高校野球連盟、共催・琉球新報社)最終日は3日、北谷公園野球場で決勝があった。40打数17安打と打線が爆発した糸満が、宜野座を15―2と圧倒し、3年ぶり4度目の頂点に立った。

糸満は一回に3点を奪って先行すると、六、七回にもビッグイニングをつくるなど最後まで勢いは止まらず、先発出場9人中8人が安打を記録した。エース赤嶺祥吾も準決勝に続いて好投した。糸満は、選抜大会に出場した沖縄尚学、美里工とともに九州地区大会(19~24日・熊本県)に出場する。九州大会に出場する3校によるチャレンジマッチは12日午前9時から、沖縄市のコザしんきんスタジアムで行う。

◆糸満猛攻15得点/大技小技1点貪欲に
 「動」の糸満野球が本領を発揮した。17安打15得点に加え、5犠打に、3盗塁。大技小技を駆使した抜け目ない攻撃が際立った。
 一回に3点を先制すると、四回までに7安打で6得点と効率良くリードを奪った。だが、真骨頂を見せたのはここからだ。中盤に差し掛かって雨が落ち始めた。「(雨で)泥んこ野球になれば、どっちにも大量点が入る可能性がある。油断するな」。上原忠監督が指示したのは、確実に1点を取りにいく野球だった。
 六回一、三塁で岡田樹のスクイズが相手失策を誘って、まず1点。続く池間誉人もスクイズを仕掛けて、中軸の3連打で畳み掛ける。七回は相手の隙を突いて3盗塁。この2イニングで打者18人8得点と完全に試合を決めた。
 シードで初戦敗退した秋季県大会以降、目標を書いたボードをグラウンドに掲げた。「春、沖縄制覇 進化した糸満見せつける」。バントを磨いてきたという岡田は「悪い流れになっても、粘り強く勝利に向かっていけるようになった」と成長を語る。
 この日は、転任する山城芳則部長の最後の試合でもあった。7年間苦楽を共にした上原監督も珍しく言葉を詰まらせ、こう誓った。「今はまだ発展途上のチーム。九州大会で勝利し、夏への経験と自信を身に付けたい」。新たな歴史を刻むため、強豪がのろしを上げた。
(大城周子)