震度6で病床7割に 県内中部医療機関


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
中部圏域の40医療機関 地震による倒壊の可能性

 中部福祉保健所はこのほど、管内の40医療機関にアンケートを行い、震度6規模の地震が発生した場合、病院の倒壊などにより使用できるベッド数が平常時の7割になるとの見通しをまとめた。大規模災害時の医療体制を検討するため、各機関の防災体制などを調査し、「倒壊の可能性がある」と答えた7病院のベッド数から算出した。

これらを踏まえ、管内で救急医療を担う県立中部、中部徳洲会、中頭、ハートライフの4病院は5月にも、大規模災害時の相互応援に関する協定を結ぶ予定だ。
 大規模災害を想定し、近隣の救急病院が連携に向けた協定を結ぶのは県内初。
 東日本大震災では医療機関の被害も甚大で、多くの病院が診療を制限した。同保健所は2012年、管内の市町村や地区医師会、救急病院などで構成する会議で、災害時の医療体制構築の必要性を提起し、協定締結に向け、準備してきた。
 アンケートは12年度、県地域防災計画の想定地震で本島中部の被害が大きいとされる「本島直下プレート内震度6強」「久米島北方沖震度6弱」の2ケースを想定し、倒壊の可能性などを尋ねた。病院と透析を行う診療所40機関中38機関が回答した。
 同保健所は「倒壊の可能性がある」とした7病院が倒壊すれば、計1536ベッドが使用できなくなり、平常時の5801ベッドから約26%減の4265ベッドになると算出した。耐震診断の未実施などから、「不明」と答えた16件は使用可能とした。「倒壊の可能性がない」は15件だった。
 災害時のマニュアルは、回答した38件中25件が策定しているが、医療機関が自ら被災した場合も想定し、最低限の診療体制を維持するための業務継続計画(BCP)を策定しているのは6件にとどまっている。
 基幹災害拠点病院に指定されている県立中部病院救急科の豊里尚己医長は「沖縄は離島県で外からの派遣応援に時間がかかる。地域で協力体制を整えることは大切だ」と強調した。
 伊礼壬紀夫中部福祉保健所長は「軽傷者を他の医療機関につなぐための体制づくりや他圏域との連携など、今後の課題や話し合うべきことは限りなくある」と指摘した。
 (佐藤ひろこ)