円盤元Jr.王者・仲松さんがラグビー挑戦


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高校時代は陸上選手として活躍した仲松美勇士クリシュナ。新たなステージで活躍を期す=2009年8月、奈良県

 中部商高時代に陸上の男子投てき種目で活躍し、円盤投げのジュニア世代で日本一になった仲松美勇士(みゅうじ)クリシュナ(23)が、ラグビートップリーグのパナソニックに本年度、新加入した。

本格的に競技を始めてわずか1年余り。大相撲の元序二段力士という経歴も持つ異色の新人ラガーマンは「強豪チームで早くレギュラーになる。そして日本代表を目指す」と意気込む。
 母のてるみさんは元全国高校総体砲丸投げの覇者。仲松自身も、恵まれた体格を生かして恩納中時代から陸上や野球で活躍した。中学卒業後は大相撲の境川部屋に入門。2007年に引退後、中部商高に進学すると、投てき種目で頭角を現し、09年に日本ジュニア・ユース選手権のジュニア円盤投げを制し、日大に進んだ10年にも同選手権のジュニア円盤投げで優勝した。09年に樹立した砲丸投げと円盤投げの県高校記録は今も塗り替えられていない。
 ラグビーを始めたのは、大学を辞めて沖縄に戻ってからだ。「もともと観戦するのは好きだった」と言い、知人を介してクラブチームの「シーサークラブ」で練習を開始。昨年2月に沖縄であった女子日本代表候補合宿で合同練習に参加した際、関係者に素質を見いだされ、パナソニックの練習生となった。練習生として過ごした9カ月間は、“ラグビー仕様”の体づくりに励んだ。20キロ減量し、トレーニングで取り組む2400メートル走は4分半もタイムを縮めた。
 パナソニックは昨季、トップリーグと日本選手権の2冠に輝いた名門でレギュラー争いもし烈だ。仲松は178センチ、109キロの大型プロップとして、相撲で鍛えた当たりの強さや陸上で培った瞬発力に期待が懸かる。「競技歴が浅い僕が活躍することで、沖縄の子どもたちに『やればできる』というメッセージにもなる」。同年代で、09年に女子円盤投げの日本高校記録(当時)を樹立した糸満みや(那覇西高―筑波大出)もラグビーに転向しており、仲松は「切磋琢磨(せっさたくま)して一緒に日本代表を目指したい」と熱い志を語った。(大城周子)