海兵隊グアム移転、大幅延長 米アセス補足説明


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 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】米国防総省が18日公表した在沖海兵隊のグアム移転計画に関する環境影響評価(アセスメント)の補足説明書で、移転に要する期間が2010年作成のアセスで示した「5年以上」から、「12年以上」へと大幅に期間が延長されたことが分かった。

日米両政府が13年に発表した嘉手納より南の基地の統合・返還計画は、浦添市の牧港補給地区のうち、海側の142ヘクタールについて「24年度またはその後」、海兵隊の国外移転後に返還するとしている。移転期間の延長で、返還に大幅な遅れが生じる可能性が出てきた。
 牧港補給地区については昨年12月、仲井真弘多知事が普天間飛行場の移設計画に伴う辺野古沖の埋め立て承認に際し、負担軽減策の一つとして7年以内の全面返還を要望している。
 またグアム移転計画は国防総省の事業積算がずさんだとして、米議会が予算の大部分の執行を凍結している。米議会が早急に凍結を解除した場合でも、移転は最短でも27年まで完了しない計算になる。
 在沖海兵隊のグアムへの移転人数は06年の日米合意時は「隊員8600人と家族9千人(計1万7600人)」だった。12年の合意見直しで「隊員5千人と家族1300人(同6300人)」に大幅減少したが、移転に要する期間は2倍以上に延びる。移転に伴う施設整備の工期は、10年作成のアセスでは7年だったが、補足説明書が示した積算では13年に増えた。
 この理由について説明書は、従来案は短期集中の工期・移転を計画していたため、隊員や家族に加え、島外からの労働者や軍属らで人口が急増し、島の生活基盤に影響が出ると説明。一方、工期を13年にした場合、人口増加を「より緩やかにできる」としている。
 国防総省当局者は18日、米議会がグアム移転予算の凍結を解除する条件の一つとしている、事業の基本計画策定について、来年春から夏にかけて「最終版」が完成するとの見通しを記者団に明らかにした。一方、議会が国防予算を審議する5月末を目標に基本計画の「概要版」を提出し、凍結解除に向け交渉する方針を明らかにした。