春季九州高校野球 沖尚2季連続V


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決勝・沖縄尚学―創成館 7回沖尚2死三塁、勝ち越しの中越え二塁打を放つ赤嶺拓=25日、熊本県の藤崎台県営野球場(大城周子撮影)

 【熊本で大城周子】高校野球の春季九州大会(第134回九州大会)は25日、熊本県の藤崎台県営野球場で決勝を行い、沖縄尚学が創成館(長崎)に5―4で競り勝ち、昨秋に続いて2季連続、4度目(春は2度目)の優勝を果たした。

県勢の秋春連覇は新垣渚(現ソフトバンク)を擁した1997、98年の沖縄水産以来、2校目。センバツ出場校同士の対決となった決勝。沖尚は、春の選抜大会で先発出場した4選手をけがで欠く苦しい状況ながら、層の厚さを見せつけた。沖尚は4点を追う四回、犠飛と失策で2点を返し、さらに渕上大蔵の2点適時二塁打で同点とした。七回には、左前打で出塁した西平大樹を犠打と外野フライで進め、2死三塁で赤嶺拓が勝ち越しの二塁打を放った。先発の山城大智は三回までに4点を失ったが、四回以降は立ち直り、完投した。

◆本命、別格の強さ 主力負傷も代役躍動
 同点の七回、2死三塁。赤嶺拓が力強く押し返した打球が、中堅の頭を大きく越える。試合を決める貴重な勝ち越し打。「気持ちよかった」。全速力でたどり着いた二塁で、ヒーローはぐっと拳を握った。
 決戦前、沖尚の比嘉公也監督はナインに呼び掛けていた。「底力の差だ。どちらが上か見せよう」。主力を欠く苦しい状況でつかんだ栄冠。大会の主役は、最後まで別格の強さだった。
 攻守の要で主将でもある赤嶺謙は大会前のけがでサポートに回り、この日は久保柊人、砂川修も準決勝の負傷で先発を外れた。さらに四回には上原康汰が自打球を当てて途中交代。センバツ8強の主力4人が抜けるという窮地に、普段は控えのメンバーが燃えた。
 象徴的だったのは同点に追い付いた四回だ。上原がベンチに下がった直後に赤嶺拓が右前打で反撃の口火を切り、2点を返した後、渕上大蔵の2点適時打で試合を振り出しに戻した。今大会初先発の渕上は昨秋まではレギュラーの二塁手で「チャンスをものにできてよかった」とにっこり。双子の兄・謙の「代役」として全試合に中堅で先発し、結果を出した赤嶺拓も「この大会を通じて気持ちの面で強くなれた」と胸を張る。
 指揮官は「対応力と新戦力がテーマだった。両方、百点じゃないですか」とうなずき、続けた。「夏に負けたら意味がない。県予選を勝ち抜いて甲子園に行きたい」。新たな勲章を求め、熱い夏がもうすぐ幕を開ける。(大城周子)