OTV杯相撲 宇栄原が高校初V、一般は島袋制す


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 相撲の第36回OTV杯争奪全沖縄選手権大会が3日、安謝新港特設相撲場で行われ、個人高校決勝で宇栄原叶(中部農)が玉城龍星(同)を破り、初優勝を果たした。同一般は島袋将太(ベルシステム24)が古波蔵大輔(日立建機日本)を退け、2年ぶり3度目の頂点に立った。

団体高校は中部農が7連覇、同中学は浦添Bが同校対決を制した。個人小学生の4~6年優勝者は、わんぱく相撲全国大会(8月3日・両国国技館)に推薦される。

◆才能開花 転向後、わずか3年/宇栄原
 個人高校決勝で同校対決を制したのは、柔道から転向して3年の宇栄原叶(中部農)だった。才能を開花させ、個人で初の栄冠を手にした大器は「稽古では(玉城)龍星の方が強い。勝ててうれしい」とはにかんだ。
 決勝は立ち合いで右下手を取ると、相手においかぶさるように左上手を引き、右四つ。宇栄原は得意の形になりながらも、勝負を急がなかった。
 「下手はまだ浅い。このまま強引に出たらやられる」。力量や取り口はお互い、十分に分かっている。両者組み合ったまま、30秒近くが経過した。
 玉城が先に仕掛ける。頭を付けて強引に前へ出るが、宇栄原には相手の動きが見えていた。土俵際で体を入れ替えると、突き落とすように投げ飛ばした。
 中学2年生の時、下半身強化のため中部農相撲部に訪れたことが転機となる。福里勇弥(現・千代稀琉、三段目)らの熱の入った稽古を目の当たりにし「自分もやりたい」と中学卒業後、同校の門をたたいた。
 「インターハイの個人無差別で優勝する。団体では5人が一つも落とさず勝つ“完全優勝”を狙いたい。いや、できると思っている」。高校最後の年、厳しい稽古に耐えてきた仲間とともに高みに挑む。(荒井良平)

◆復活の雄たけび/島袋
 「よし、よし!」。一般決勝、古波蔵大輔(日立建機日本)を寄り切ると、島袋将太(ベルシステム24)は右拳を突き上げ、叫んだ。「最近、いい相撲が取れていなかったが(OTV杯では)イメージ通りできた」。32歳のベテランが、復活の雄たけびを上げた。
 昨年は古波蔵将(日本郵便)に敗れ、準優勝。悔しい思いを晴らすべく、仕事の合間を縫って稽古に励んだ。得意の形は相手を正面に置いて、前に圧力をかける相撲。準決勝、決勝と立ち合いからイメージ通りに体が動いた。これまで「気持ちばかり前に出てしまっていた」が、この日は相手の動きも見え、焦らず体を寄せていった。心技体が充実していた。
 「体は年々きつくなってくる。相撲は一生続けられる競技ではないし」と語る。それでも「一年一年大切に頑張っていきたい」と前を向いた。

個人高校決勝 宇栄原叶(左)がすくい投げで玉城龍星を破る=3日、安謝新港特別相撲場(田盛良一撮影)
一般決勝 優勝を決め雄たけびを上げる島袋将太