出馬か勇退か 仲井真氏発言注目 あす政治資金パーティー


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仲井真弘多知事

 12日に開かれる仲井真弘多知事の政治資金パーティーを前に、知事の進退に注目が集まっている。秋の知事選に向け、現在2期目の仲井真知事は自民党県連や後援会関係者にも態度を明らかにしていない。今回はその去就に関する直接の発言はないとの見方が強いが、例年2月ごろに開かれている後援会主催のパーティーが5月にずれ込んだことなどからも臆測を呼び、知事周辺や自民、公明関係者らがパーティーでの発言内容に注目している。

 関係者によると、仲井真知事は安倍晋三首相が沖縄振興予算の3千億円規模の確保を表明したことや、1千万人の観光客誘致に向けた那覇空港第2滑走路着工、失業率の改善など、経済振興面での実績に自信を深めている。米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止や日米地位協定の改定など安倍首相に求めた4項目の負担軽減策でも一定の成果が得られれば「3期目の出馬に傾くのでは」との見方が出ている。
 知事周辺は「4項目の約束をした知事が残れば、ほかの人が知事になった場合に比べ、政府に対する発言の重みが全く違う」と強調。3選出馬の「大義」は十分ある、と踏む。
 一方で辺野古の埋め立て承認後の支持率低下を懸念する声も強く、特に埋め立ての不承認を求めていた公明党県本との関係でも溝が残ったままだ。石垣市長選、沖縄市長選では自公連携が強さを発揮したが、公明県本幹部は「知事選の話は候補者の顔が見えてからだ」と一定の距離を置き、「勝てる候補」を模索する向きもある。
 仲井真氏に知事を引き継いだ稲嶺恵一前知事のケースでは、2006年4月末に3選不出馬の意向を関係者に伝え、同5月に自民党の人選作業が本格化した。自民党関係者は「知事の進退がはっきりしていない以上、選考委員会を開くわけにもいかない。出馬するなら表明は遅くてもいいが、勇退なら早めの決断が必要だ」と気をもんでいる。