琉球新報社 キングスが決戦の地、有明コロシアムに挑む。１１日に沖縄市体育館で行われたプロバスケットボールｂｊリーグのプレーオフ（ＰＯ）西地区準決勝で、琉球ゴールデンキングスは７２―５５で浜松・東三河フェニックスに勝利し、２年ぶり５度目のＰＯファイナルズ進出を決めた。
キングスは第１戦に引き続き試合の序盤から強さを発揮した。岸本隆一が連続で３点弾を沈めて勢いをつけると、守備でも浜松を圧倒した。第２クオーター（Ｑ）は金城茂之のドライブ、ドゥレイロン・バーンズの中長距離のシュートとテンポ良く得点して試合の主導権を握った。３６―１５と大きくリードして迎えた後半は浜松が勢いを取り戻し、ジャメイン・ディクソンの３点弾などで追い上げた。第４Ｑは序盤からファウルが続き、フリースローで得点を重ねる浜松に点差を縮められた。それでも山内盛久の体を張ったプレーで流れを取り戻し、バーンズやキブエ・トリムの得点で突き放した。ファイナルズは２４、２５の両日に東京の有明コロシアムで行われる。地区決勝でキングスは京都ハンナリーズと対戦する。
▽西カンファレンス準決勝 第２戦（琉球２勝）
琉球ゴールデンキングス（リーグ１位）
７２―５５（１８―７，１８―８，１７―１９，１９―２１）
浜松・東三河フェニックス（リーグ４位）
（琉球は西カンファレンス決勝進出）
【評】キングスが前半で広げた点差を最後まで守りきった。キングスは第１Ｑから岸本の３点弾が好調で、開始５分を待たずに１１点のリードを奪った。第２Ｑはバーンズを中心に得点を重ね、粘り強く守って浜松をロースコアに抑えた。後半は浜松のディクソンが内外から攻めて追い上げたが、キングスが体を張った守りで追撃を絶った。浜松は前半に攻撃を組み立てられず、得点を伸ばせなかった。（平安太一）
◆決められて良かった
伊佐勉ＨＣ（キングス）の話 多くのお客さんの前でファイナルズ進出を決められて良かった。前半はディフェンスがしっかり機能して試合をコントロールできていた。しかし、第３、４Ｑの守備は集中力を欠いていた。得点も７２点では有明では戦えない。練習で一つ一つ課題をつぶしたい。
◆悔しさだけが残る
東野智弥ＨＣ（浜松）の話 悔しさだけが残る試合だった。
◆バーンズ 縦横無尽／爆発、ゲーム最多２７点
バーンズは縦横無尽にコートを駆け回った。強力なドライブで相手守備をかき乱し、中長距離からリングを射抜く。波に乗ったら誰も止められない。この日の２７点は両チームで最多だ。「自分の成績はチームの努力を集結した結果だ」と謙虚さも忘れない。仲間をもり立てるアシスト力も光り、今季テーマの「団結の力」を体現するようなプレーでチームを引っ張った。
前半で浜松に２１点差をつけて圧倒的優位に立っていた。「昨日以上のエナジーを持っていた」と言う岸本隆一の３点弾は面白いように決まり、アンソニー・マクヘンリーはリング下で強さを発揮した。第１戦と同様の快勝かと思われたが、浜松がこのまま黙っているはずがなかった。
後半は浜松が内外から激しく攻め、キングスが受け身になる場面が増えた。キングスのシュートはリングを捉えられず、得点面で伸び悩んだ。そんな我慢の時間に力を出したのがバーンズだった。「昨日はいいパフォーマンスじゃなかった」という反省を胸に、持ち味を最大限に発揮。自ら得点するのはもちろんのこと、「チームとしてプラスになる動きを意識した」とフリーの選手を探してボールを供給した。
昨季は横浜の優勝に貢献したバーンズは「次の２試合に今シーズンの意味がある」とファイナルズに向けて決意を新たにする。まっすぐな瞳で「大きな仕事を精いっぱいやる」と宣言。今季はキングスをリーグの頂点に導くことを誓った。（平安太一）
◆体張って流れ変える／価値ある山内の献身
マクヘンリーのシュートはリングにはじかれ、ボールはコートの外に向かっていった。第４Ｑ残り約７分、思うようにシュートが決まらない、苦しい時間のことだ。山内盛久はボールに飛びつき、すぐさまマクヘンリーに渡して得点につなげた。「一つのプレーで流れを変えたかった」と山内は胸を張る。チームが勢いを取り戻したのは、その直後だった。
「得点ではなくてディフェンスで貢献するのが自分の役割だ」と山内は自覚している。この日は浜松の外国籍選手にも果敢にアタックし、体を張って動きを止めた。ルーズボールにも食らいつき、チームにいい流れをもたらした。岸本も「（第４Ｑは）ビッグプレーを見せてくれた」と仲間の活躍を喜ぶ。
山内にとって有明は２度目。「最初に行ったときはチームのために何もできなかった」と言う。だからこそ、「今年はチームの力になる」と闘志を燃やしている。
