FC琉球勝ち7位 サッカーJ3第12節


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体を張ってボールをクリアするFC琉球のDF河端和哉(中央)=18日、沖縄市陸上競技場

 サッカーJ3のFC琉球は18日、沖縄市陸上競技場でツエーゲン金沢と第12節を行い、1―0で勝った。琉球のホーム戦勝利は第2節(3月16日)のブラウブリッツ秋田戦以来、約2カ月ぶり。

4勝3分け5敗で勝ち点15。順位を一つ上げて7位に浮上した。琉球は前半12分、コーナーキックにDF河端和哉が頭で合わせ先制。雨でぬかるむピッチに苦しみながらも、GK田中賢治を中心に集中力を切らさず無失点で守り切った。金沢の連続無失点は5試合で止まった。次節は25日午後3時から、長野パルセイロと同競技場で対戦する。

琉球(4勝3分け5敗)(15)
1―0(1―0,0―0)
金沢(7勝3分け2敗)(24)

 【評】FC琉球がセットプレーで挙げた貴重な先制点を全員で守り、逃げ切った。雨でピッチの所々に水たまりができた状態で行われたゲーム。琉球は日頃のパスをつなぐサッカーを諦め、敵陣にボールを蹴り込むシンプルなサッカーを展開し、ペースを握った。終盤、金沢はセットプレーでGKを上げるなどパワープレーに出たが、センターバックの河端和哉、浦島貴大が体を張ってはね返した。GK田中賢治の好セーブも光った。(荒井良平)

◆田部氏しのび黙とう
 ○…FC琉球は、9日に死去した元ゼネラルマネジャー・田部和良氏に哀悼の意を示すため、試合前に黙とうをささげ、選手は喪章を付けてプレーした。
 会場に設置された献花台には来場者が花や琉球のグッズを手向け、手を合わせる姿が見られた。スタンドにはサポーターが「田部GMありがとう あなたの貢献を私たちはずっと忘れない」と記した横断幕を掲げた。

◆猛攻しのぎ 河端千金弾
 朝からの雨でピッチには水たまりができていた。グラウンダーのパスは止まり、ぬかるみに足を取られる。そんな最悪なコンディションの中、先発起用されたFC琉球の30代4人が躍動した。
 コーナーキックの好機に頭で決めたのは32歳のDF河端和哉。「(コーナーキック時の)金沢DFの弱点は分かっていた」と話す主将の今季初得点は値千金の先制点となった。
 その後も河端は体を張って、計13本のシュートを放った金沢の猛攻をしのいだ。「雨でボールが止まる。DFではむやみに相手に飛び込まない方がいい」とベテランらしさも見せた。
 薩川了洋監督も「チームを鼓舞する選手が1人は必要。河端を超えている若手もいるが、現段階では河端を使う」と信頼を寄せる。
 30歳のGK田中賢治はぬれたボールもミスすることなく処理し、ピンチを防いだ。右MFでフル出場した32歳の中山悟志は長身を生かしたゴール前の守備でも貢献した。30歳のボランチ小寺一生は縦横に駆け回り、相手の攻撃の芽を摘んだ。
 薩川監督は「めちゃめちゃうまい選手はいないが、選手たちがみんなの役割、能力を分かりながら戦ってくれている。いいチームになりつつあるんじゃないか」と手応えを語る。若手の成長と、その若手から刺激を受けたベテランの奮起がかみ合い、チームに活力をもたらしている。(荒井良平)