安里君の詩が絵本に 「へいわってすてきだね」


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絵本「へいわってすてきだね」の表紙

 与那国町立久部良小学校1年生(当時)の安里有生(ゆうき)君が、2013年の沖縄全戦没者追悼式で朗読した平和の詩「へいわってすてきだね」が6月23日の慰霊の日、東京の出版社「ブロンズ新社」から絵本として出版される。

絵は、独特のタッチとユーモアあふれる作品で人気を集める絵本作家・長谷川義史さん(53)が担当した。のどかに流れる与那国島の日常と戦争への恐怖―。「ずっとへいわが つづくように ぼくも、ぼくのできることから がんばるよ」。安里君が素朴な言葉で紡いだ平和への思いが絵本となって“発信”される。
 安里君の詩は「第23回児童・生徒の平和メッセージ展」(県平和祈念資料館主催)詩部門で最優秀作に選ばれた。全国ニュースで安里君の詩を聞き、言葉の力に驚いた若月眞知子編集長が書籍化を考え、長谷川さんに絵を依頼した。
 年間100回余の講演をこなす、多忙な長谷川さん。安里君の詩を読み、「今描かなきゃと思った。戦争のできる国に一部の人がしようとしている。大人として、絵描きとして、逃げることはできない」と感じ、引き受けたという。
 昨年9月に与那国島を訪れた長谷川さんは「1ページ1ページ挑み、闘うような気持ちで描いた」と振り返る。4月に転校し、現在は沖縄市立美東小に通う安里君は「早く完成してほしいな」と話した。
 絵本は32ページ。予定価格は1400円(税別)。若月編集長は「沖縄から平和を発信する絵本だ」と力を込める。売り上げは県平和祈念資料館を通じ、県内全小学校に寄贈される。同館主査の功刀弘之さんは「多くの人に読んでもらい、平和を考えるきっかけにしてほしい」と語った。
(佐藤ひろこ)