米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部での環境影響評価(アセスメント)手続きに不備があるとして、周辺の住民ら約300人がアセスやり直し義務の確認と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。
今泉秀和裁判長は、住民の訴えを退けた一審の那覇地裁判決を支持し「住民の意見陳述権は認められない」として控訴を棄却した。住民側が主張したアセスの違法性については判断を示さなかった。住民側は最高裁への上告を検討している。
訴訟では、アセス手続きについて住民が意見を述べる権利の有無が争われた。住民側は「国は重要な情報を後出しにして、住民が生活利益を守るためにアセスに意見を述べる権利を侵害した」と主張した。
判決では、アセス手続きで定められた住民の意見陳述機会について「地域の自然環境などについて事業者が単独で調査するよりも的確、効率的に情報収集することが目的」として、住民に権利として与えられてはないと判断した。
また住民側は、飛行場建設予定地周辺の住民について、米軍機の騒音によって生活利益を侵害される恐れがあるとして、「爆音訴訟で飛行差し止めは却下されており、完成後に民事訴訟などで利益を守ることはできない」と主張した。しかし、今泉裁判長は「損害を避けるために他に適当な方法がないと考えなくてはならない根拠を見いだすこともできない」と具体的な方法は示さずに主張を退けた。
安次富浩原告団長は「不当判決だ」と話した。
英文へ→Court rejects Henoko residents’ call for a new impact assessment