翁長雄志那覇市長(63)が11月に想定される県知事選に出馬する意向を固め、複数の関係者に伝えていたことが3日、分かった。翁長氏については県議会野党の選考委員会が有力候補に挙げているほか、那覇市議会の自民党市議団が同日、出馬を要請する方針を決定した。
経済界有志などにも擁立の動きがある。自民党県連はまだ知事選への対応を決めていないが、仲井真弘多知事の3選出馬を軸に、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認する現県政の路線を継承する候補を模索している。
那覇市議会(定数40)の最大会派である自由民主党新風会(11人)は5日に所属全議員で翁長氏に出馬を要請し、6日の市議会代表質問でも金城徹会長が出馬を促す。辺野古移設に反対する立場の翁長氏に対しては与野党から出馬を求める声があるが、正式な要請は新風会が初めてとなる。
ただ新風会の動きを受け自民党県連は3日、緊急の役員会を開き、同会を含む党所属議員に対し、翁長氏への出馬要請の取りやめを求める方針を決定した。自民内で県連と市議団の対立が鮮明になった。
新風会は3日、全11人で会合を開き、全会一致で出馬要請を決めた。金城氏は理由について「市民本位の立場で市政の硬直化を打破した。これまで主張し続けてきた『オール沖縄』を、知事になって体現してもらいたい」と述べた。
新風会は自民県連が辺野古移設容認に転じた後も、移設反対を掲げてきた。仲井真弘多知事が埋め立てを承認した後の1月の市議会臨時会では安倍晋三首相に辺野古断念を求める意見書に賛成し、3月に県連から役職停止処分を受けた。
翁長氏の市長任期は2016年11月まで。任期が2年以上残っているが同会派関係者は「那覇市政のために十分責任を果たしたと理解している」と話した。
新風会は出馬要請を決めるに当たり県連との協議や調整はしなかったという。