沖電サヨナラ勝ち 都市対抗九州予選第6日


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 社会人野球の第85回都市対抗野球九州地区予選兼第53回九州選手権大会第6日は5日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で決勝などを行った。県第1代表の沖縄電力(浦添市)は第3代表決定トーナメント準々決勝で熊本ゴールデンラークス(熊本市)と対戦し、5―4でサヨナラ勝ちした。

決勝は玉城誠監督(豊見城南高出)が率いるホンダ熊本(熊本・大津町)がJR九州(北九州市)を3―2で破り2年連続で東京ドームで行われる本戦第1代表の座を勝ち取った。第2代表トーナメント準決勝は西部ガス(福岡市)が三菱重工長崎(長崎市)に1―0で延長十回サヨナラ勝ちした。沖縄電力は6日午前10時から同球場で、三菱重工長崎と第3代表トーナメント準決勝を戦う。

◆本戦への執念 打線に火
 5番田場亮平の打球がセンター前に落ち、歓喜の輪が広がった。もう負けられない沖縄電力の打線が、あふれるエネルギーを放電する10安打でサヨナラ勝ちし、第3代表の座へ一歩近づいた。
 九回裏、先頭の3番照屋吐夢(宜野座高―浜松大出)が三塁打を放ち、サヨナラへのお膳立ては整った。4番狩俣達也が敬遠で歩かされ、前日本塁打を放っている5番田場が「勝負してくれ」と祈りながら打席に入った。2―1からの4球目。田場が外角の直球を振り抜くと打球は中前にポトリと落ちて試合を決めた。
 沖電打線は火が付くまでに時間がかかった。熊本ゴールデンラークス先発の津波翔太を攻めあぐね五回まで無得点。六回表、相手に先制されたが、強肩の右翼狩俣が走者を本塁で刺すなど、追加点を許さず反撃の機会をうかがった。
 六回裏の攻撃では4番狩俣の安打を足掛かりに6番平田太陽、代打大城亮の連続中前安打で同点に追い付いた。「自分も続いていこう」と打席に入った8番山川大輔は内側の直球をはじき返し、3連続中前安打で一気に勝ち越し。サヨナラ勝ちへの布石となった。
 念願の代表権獲得まであと2勝。小川勝司監督は「崖っぷちからはい上がるだけだ」と気合を込めた。(関戸塩)

◆力投光り好機呼ぶ/伊波翔悟
 沖縄電力・九回表の守備は1死満塁の危機を迎えたが、右腕・伊波翔悟(浦添商高出)の気迫のこもった力投が光り、流れを呼び込んだ。
 4―4の同点で迎えた熊本ゴールデンラークス九回表の攻撃は1番からの好打順。2本の安打と四球で満塁となった。この日の伊波は球の切れはいまひとつだったが小川勝司監督から「お前に任す」と託されたマウンド。伊波が直球を外角低めに投げ込むと、強烈なライナーが返ってきた。
 「みんなの気持ちが乗り移った」と伊波が素早く反応して打球をグラブに収め、一塁に投げ重殺で締めた。一気にサヨナラに向けたムードが盛り上がった。

◆ホンダ熊本 九州V/県勢活躍、玉城監督男泣き
 豊見城南高出身の玉城誠監督が指揮するホンダ熊本が沖縄初開催の都市対抗野球九州予選で優勝した。「特別なことはない」と平常心を繰り返していた玉城監督だが、優勝を決めると「相当なプレッシャーを感じていたがほっとした。本当にうれしい」と男泣きした。
 試合は1―1の同点で迎えた三回裏、ホンダ熊本の9番佐久本匠(宜野座高出)が真ん中低めの直球をたたき、右へライナー性のソロ本塁打で勝ち越した。
 七回表にJR九州がスクイズで同点に追い付く。その裏1死一、三塁でホンダ熊本の砂川卓也(八重山高―東京情報大出)がスクイズ失敗ながら相手の悪送球で決勝点を奪った。

沖縄電力―熊本ゴールデンラークス 中堅前へサヨナラ打を放つ5番の田場亮平=5日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇(金良孝矢撮影)
8回表から登板し力投する沖電の伊波翔悟
決勝 JR九州―ホンダ熊本 3回裏、右方向に勝ち越しのソロ本塁打を放つ佐久本匠