もう一つのW杯 山内さん出場 ブラジル、8月開幕


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日本代表合宿のトレーニングマッチでプレーする山内康勝選手=2013年11月14日、茨城県のオーシャンフィールド((c)日本知的障がい者サッカー連盟)

 サッカーのワールドカップ(W杯)が12日(日本時間13日)から始まるブラジルで8月、「もう一つのW杯」と呼ばれる知的障がい者サッカーの世界選手権大会が開催される。

その日本代表に今年3月、県出身として初めて選ばれた山内康勝さん(20)=沖縄市出身、東京都在住=が代表合宿などを通し、夢の舞台に向け調整を続けている。山内さんは「悔いが残らないようプレーしたい」と意気込んでいる。
 小学4年生の時に、サッカーを始め、美里中から沖縄高等特別支援学校に進学した。同校には当時、サッカー部がなく、山内さんは困惑した。どうしてもサッカーを続けたかった山内さんは校長に直談判し、同好会「ブルーシーサー」を立ち上げた。
 仲間と練習に打ち込み、3年生の時には「全国障害者スポーツ大会」に県代表で初出場し、3位入賞を成し遂げる。同大会での活躍が日本代表チームの監督に認められ、U―18日本代表候補強化合宿に派遣された。山内さんに対し、監督は県外で生活しサッカーを続けるよう薦め、就職先や居住環境もサポートした。
 2011年からは都内の運送会社で働きながら、知的障がい者のクラブチーム「王子ジャッキーズ」に所属した。レベルの高さや慣れない県外生活のため、初めてサッカーが嫌になったが、「沖縄で応援してくれる家族や友人、先生の期待を裏切りたくない」との一心で練習に励み、その結果が日本代表につながった。「ピッチではできることをしっかりする。自分の活躍を通し、この競技を知ってもらえれば」と力を込めた。
 特別支援学校時代の教諭、手登根雄次さん(39)は「彼を中心に県内の競技レベルは上がった。県内の知的障がいサッカーの先駆者と言ってもいい。日本代表として出ることはすごいことだ。頑張ってほしい」とエールを送った。
 障がい者スポーツは遠征費の補助などがなく、個人の負担が大きい。日本知的障がい者サッカー連盟は資金造成のため代表応援Tシャツを製作・販売している。Tシャツ注文の締め切りは20日。問い合わせは琉球スポーツサポート(電話)098(879)2154
(屋嘉部長将)