「漁業権者に補償を」 県、水産庁に意見書


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 県水産課は12日、名護市辺野古沿岸部の漁船の操業制限水域拡大について、水産庁に対し「漁業権者と十分協議し、補償してほしい」などとした意見を送付した。

 同課によると、漁業制限区域の拡大の根拠について水産庁は「防衛省が『米軍が利用するものだ』としている。水産庁は見解を示す立場にない」と回答したという。
 普天間飛行場の移設作業開始に向け、政府は漁業制限の第1種区域を拡大し、防衛省が浮標灯(ブイ)を設置し、立ち入り制限を徹底する方向で調整している。
 日米合意文書の「5・15メモ」の解釈も同時に変更し、新基地建設に反対する住民らの抗議行動を排除する狙いがあるとみられる。水産課が送付した意見の中で一般の船の取り扱いに関する意見はない。
 防衛省は小野寺五典防衛相が5月21日に林芳正農水相に意見を照会。農水省は水産庁を通して県農水部長に、提供水域の拡大に伴う漁船操業制限の一部変更について照会した。これを受け、県水産課が同27日に県漁業協同組合連合会、名護市、名護漁協に意見照会を提出していた。
 県によると、名護漁協と県漁連は補償や漁船の航行に配慮を求めるよう回答していたが、名護市は制限区域拡大に反対するとの意見を提出。水産庁への回答期限は6月9日だったが、制限区域拡大の根拠を問い合わせるなどしたため、意見送付が12日にずれ込んだ。