国際物流特区を拡大 臨空・臨港型産業振興へ


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国際物流拠点産業集積地域の拡大案

 県は、立地企業が税制上の優遇措置などを受けられる「国際物流拠点産業集積地域」(国際物流特区)を、糸満、豊見城、那覇、浦添、宜野湾の5市全域に拡大する。17日に開かれる県振興推進委員会(委員長・仲井真弘多知事)で計画案を審議後、知事が計画を決定、国への提出を経て適用される見通しだ。

 国際物流特区は現在、うるま地区と那覇空港に隣接する那覇地区、那覇空港地区、那覇港地区の4地域。那覇空港と那覇地区には既に企業が集積し、企業立地拡大に向けた用地の確保が課題になっていた。
 5市は、沖縄振興特別措置法に定められた国際物流特区の指定条件「開港、税関空港に隣接または近接する地域」に沿って選定。那覇空港を中心に広がる5市に新たな物流関連企業の立地を進め、全日本空輸(ANA)の国際物流拠点(ハブ)などを活用した臨空・臨港型産業の振興を図る。
 国際物流特区の地域、事業者の指定は、2014年度の沖縄振興関連税制の改正で、国から県知事に権限が委譲された。優遇措置を活用したい企業の認定は、指定市域であれば場所を問わず県が個別に審査し、決定する。
 優遇措置の対象事業は製造業や倉庫業、航空機整備業のほか、倉庫を賃貸する不動産賃貸業など計9種。域内では一定の要件の下に、法人税の40%所得控除や投資税額控除、事業税・不動産取得税の免除、関税上の優遇措置などが受けられる。
 特区の範囲を市域に拡大することで、既存の民間施設を活用した県外企業の進出や、自社施設による新たな事業展開も見込まれる。インフラを提供する不動産業などの誘致も積極的に図り、民間活力を生かして企業集積を進める方針だ。
 県の担当者は「那覇空港周辺への企業の進出意欲は高い。市と県で連携して企業誘致や支援を進めていきたい。企業が集積し事業拡大が進めば、うるま地区への波及効果も期待できる」と話している。