道の駅許田、不明金1903万 07~09年、レジ不正操作


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 【名護】名護市の「道の駅許田」を運営する第三セクターやんばる物産(荻堂盛秀社長)で、2007~09年の間に約1903万円の売上金が紛失していたことが13日、同社への取材で分かった。同社は横領事件とみて名護署に被害を相談していたが、被疑者の特定に至らなかったため、当時の会社関係者一人から5千円を回収しただけで、被害額のほぼ全額を回収不能扱いにしていた。

同日、市内で開かれた株主総会で株主から管理体制の不備を指摘された経営陣は、荻堂社長や常勤取締役ら計3人の役員報酬を1年間10%減額すると発表した。
 やんばる物産などによると、07年12月から約2年間にわたり、レジの不正操作によって現金が抜かれていたという。10年10月の売り上げ調査で発覚し、名護署に被害届を出した。同社によると、市や株主らにも報告したという。
 荻堂社長によると、警察の事情聴取に協力し「最終的に(取った人物を)絞り込んだが、本人が認めなかった」という。同社は捜査の進展を待ったが損害賠償請求の時効が3年で切れるため、ことし4月に会社関係者から5千円だけ受け取り、同署への被害届も取り下げたという。荻堂社長は取材に対して「経営者として(事件を)見抜けなかったのは事実であり、責任がある」と述べた。
 総会では、横領を否定している会社関係者から5千円を回収して幕引きを図ることに批判が相次いだが、荻堂社長などから具体的な説明はなかったという。
 筆頭株主で取締役でもある市は5、10の両日行われた取締役会で荻堂社長の解任動議を提案したが、荻堂社長が今期で退くことなどを理由に、市以外の取締役が反対したという。市は「横領したと断定できない関係者から5千円だけを回収して終えるやり方は常識的にも理解されないだろう。経営陣には公金が出資されている第三セクターとしての認識が欠けている」と批判した。