渡嘉敷に見慣れぬ花 ニゲラ見つけた新垣さん「被災地との絆」


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 【渡嘉敷】島ではこれまで見たことのない「ニゲラ」(キンボウゲ科)の花が咲いた。どこから、どのようにして根付いたのか。よくよく調べると、その花は東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市との絆が生んだ花だった。

 別名「黒種草」と呼ばれ、南ヨーロッパが原産の「ニゲラ」が、村指定有形文化財の根元船頭屋敷の庭園に開花しているのを5月上旬、渡嘉敷区在住の新垣光枝さん(65)が発見した。
 新垣さんは、この庭園にボランティアで花を植え続けており、手入れをしている際に見つけた。開花する前はただの雑草と思い、引き抜こうと思ったが、花径が見たことがないので残すことにしたという。その後紫色の花が咲き、知人に名前の調査を依頼したところ「ニゲラ」と判明した。
 新垣さんは、東日本大震災後、被災地の宮城県気仙沼市の園児らに毎年手編みのマフラーや手作りサーターアンダーギーなどを贈り続けている。そして5月20日に被災地の児童に沖縄の絵本やCD、お菓子などを贈るため現地を訪問した際、あるレストランで偶然にこの花を見つけた。地元の人に聞くと「ニゲラ」だという。
 新垣さんは「以前に被災地から贈られてきたヒマワリ、コスモスの種子を根元家の庭園にまいたので、ニゲラの種も交じって入ったのではないか。被災地との絆が生んだ花だと思うので、大事に育てていきたい」と話した。(米田英明通信員)

渡嘉敷島で初確認と思われる「ニゲラの花」=5月12日、渡嘉敷区の根元船頭屋敷
ニゲラの花を渡嘉敷島で初確認した新垣光枝さん