満霊之塔「市で管理を」 糸満市遺族会が要望


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 【糸満】糸満市遺族会の総会が9日、ホテルスポーツロッジ糸満で開かれた。新役員が選任されたほか、同会が1996年3月に市真壁に建立した糸満市出身の沖縄戦戦没者らを祭る「満霊之塔」の、市による維持管理と慰霊祭の主催を要望した。

 真壁公園内にある満霊之塔は現在、市遺族会を構成する高嶺、三和、糸満、兼城の4支部で管理している。年に4回、各支部の持ち回りで清掃作業を実施し、毎年11月に会の主催で慰霊祭を開いている。
 遺族会は、会員の高齢化に伴い、今後の清掃作業や慰霊祭の実施が年々難しくなると見込み、2年前から市に慰霊塔の清掃と市主催の慰霊祭の実施を要請していた。
 総会に出席した上原裕常糸満市長は「現在、市で次年度の清掃活動や慰霊祭の協力に向けて話し合いを進めている。若い世代に戦争を語り継いでいくことは課題だ」とあいさつ。慰霊塔の維持管理と慰霊祭への協力に前向きな姿勢を見せた。
 2014年度の新会長に就任した新垣重政さん(71)は「高齢化が進み、現在一番若い会員は69歳で、遺族は90歳を超えている。戦争で家族を失う体験は二度とあってはならない。戦争体験の風化を防ぎ、次世代に継承するためにも市が主体となって慰霊祭を開催してほしい」と話した。

慰霊塔の維持管理や2014年度の役員人事などを審議する糸満市遺族会の会員=9日、ホテルスポーツロッジ糸満
糸満市遺族会が市に維持管理と慰霊祭の主催を要望している「満霊之塔」=10日、糸満市の真壁公園内