【島人の目】名物市長から保安官目指す


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 北米沖縄県人会館があるガーデナ市の市長ポール・タナカさんが、大ロサンゼルス郡シェリフ(保安官)に立候補を決意、このほど支援の夕食会がロサンゼルス市の隣接都市アルハンブラ市の中国レストランで開催され、300人が参加した。僕も北米沖縄県人会有志の一人として出席した。

 タナカ市長は、ほぼ毎年沖縄県人会の新年役員就任式で陣頭指揮を執る。6月3日に行われた予備選には7人の立候補者の中から2位となり、1位になった候補者が50%以上の票を取れなかったため、11月の決選投票に持ち込まれた。
 ロサンゼルス郡保安官事務所は職員1万1千人を抱える全米一大きな保安官事務所で、世界的にも有名である。シェリフと言えば、往年の西部劇「OK牧場の決闘」でおなじみの実在の保安官ワイアット・アープを思い出す人もあろう。だが、今ではシェリフは昔のようにカウボーイ姿で勤務するのではなく、警官と同じ服装だ。
 1999年当初、ガーデナ市は約5億ドル(500億円)の負債を抱えていた。そこで、市長に選出されたばかりのタナカさんは銀行と交渉し、さまざまな戦略を立てた。街の落書きや清掃をボランティアと一緒に行い、街を見違えるように変えた。2006年3月には、歳入を黒字に立て直した名物男だ。
 市長になったのは「ガーデナ市が大きな問題を抱えているため、力を貸してほしい」と1998年に市議会議員から頼まれたことがきっかけだ。ガーデナで生まれ育ったタナカ市長は、もともと会計士の免許を持つ有能な人物だ。
 大ロサンゼルス郡(ガーデナ市も含む)を犯罪の少ない、住みよい街として改善したいという大命題を掲げるタナカさん。夢をぜひ実現してほしいものだ。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)