【ニューヨーク】ニューヨーカーに沖縄を知ってほしい


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スーザン・ハマカーさん

NY県人会新会長 スーザン・ハマカーさん
 ニューヨーク沖縄県人会はこのほど行われた新春会で、新会長にスーザン・ハマカーさん(45)を承認した。

 スーザンさんは、バージニア生まれのノースカロライナ育ちで、現在はマンハッタン在住。母親のチコ宮城・マコーマックさんは国頭村出身。奥間ビーチ保養センターの将校クラブでウエートレス長として働いていた時に、当時軍曹だったジム・マッコーマックさんと出会い結婚し、スーザンさんは次女として1968年に生まれた。「母が私を身ごもり7カ月まで沖縄にいたので、私は『メイドイン沖縄』よ」と自称する。
 83年に設立されたニューヨーク沖縄県人会は、てい子トゥーシーさんが8代目の会長で1世が続き、9代目で初めて2世が会長を務めた。世代交代に10年間会長の経験を持つ先代がその後も顧問、広報担当として新会長をサポートするなど、絆が結ばれている。
 スーザンさんの家族は父親の退役後にバージニアを離れ、父の古里ノースカロライナに戻り、スーザンさんはここで育った。母はすっかりアメリカ社会に溶け込み、家庭でも日本語を使うことはなかったようだ。
 生後18カ月のころ、父の軍務で一時は沖縄に戻ったようだが、スーザンさんの記憶にはない。
 2011年の旅が初めての沖縄との接点に。国頭村奥間の母の古里に着いたスーザンさんは驚いたという。両親の話で沖縄を思い描いていたのだろう。想像していたものとは全く異なっていた。自然の美しさ、歌、踊り、料理、人の情や絆と、あらゆる沖縄の文化に急激に引き込まれていった。「私は歌や踊りが好きで特に沖縄のはね、血が沸く。うちなーんちゅなんですね」とにこやかに語る。
 14年前にニューヨークに移り住み、日本や沖縄の文化や沖縄の移民史などに触れ、吸収する日々。県人会には09年に入会した後、スーザンさんの人生観が大きく変わった。大学院で東アジア学を学ぶ決意をし、現在はその準備のためコロンビア大学で日本語の勉強に励んでいる。
 「ニューヨーカーや近郊の人たちに沖縄のことや文化をもっと知ってもらいたい」。ニューヨークにある他府県の県人会との交流やアメリカ国内の多くの都市にある沖縄県人会との交流を深めていくように連絡を取り始めた。ニューヨークに住む若いうちなーんちゅとも協力していくよう心掛けていると、会長の抱負を語る。
 文筆家としても活躍しているスーザンさん。11年に「ジャパン。カルチャル・NYC」というウェブサイトを立ち上げた。笑顔でおっとりした包容力豊かな性格で、静かな情熱家として会員や会員以外の人々から期待が大きい。
(比嘉良治通信員)