【島人の目】サッカー強国は「サッカー狂国」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ワールドカップ真っ盛りである。残念ながら、日本もイタリアも1次リーグで敗退した。世界サッカーの中では日本チームの実力はまだまだだが、イタリアはここまで、W杯をブラジルの5回に次いで多い4回も制覇している強豪国である。決勝リーグ進出は順当かと見えたが、2大会連続で1次リーグ敗退となった。世界の壁は険しい。

 世界サッカーの頂点にいるのは欧州と南米である。強豪がひしめくヨーロッパではどの国に行っても、サッカーが国技と呼べるほどの人気があるが、中でもサッカーに身も心も没頭している国はイギリスとイタリアとドイツだとよく言われる。イギリスはサッカー発祥の地だから分かるとしても、血気盛んなラテン系のイタリア国民と、冷静沈着な北欧系のドイツ国民がサッカーにのめり込んでいる状況はとても面白い。
 イタリアとドイツは、ワールドカップの優勝回数がそれぞれ4回と3回と、欧州の中ではほかに抜きん出ている。やはり国民が心の底からサッカーを愛していることが、両国の強さにつながっているのだとも考えられる。もっとも今挙げた3国のほかにもスペイン、オランダ、フランス、ポルトガル等々、ヨーロッパにはサッカーに熱狂し、かつ実力もあるチームがごろごろしている。
 欧州の豊かな国々でさえそういう状況だ。サッカーに耽溺(たんでき)することぐらいが人生の楽しみ、という貧しい国々も多いアフリカや南米では、人々の心がサッカーへの情熱で熱く燃え盛っているのは周知の通りである。そういう下地があって、南米ではブラジルやアルゼンチンやウルグアイなどのサッカー大国が生まれた。
 欧州でも南米でも、要するに世界のサッカー強国とは「サッカー狂国」にほかならないなのである。
(仲宗根雅則、TVディレクター)