県内わずか5市町村 集団的自衛権「慎重」「反対」意見書


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 集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定を目指す政府に抗議する市民らの動きが県内でも広がっているが、県内市町村議会で行使容認に反対したり慎重審議を求めたりする意見書を可決したのは30日現在、読谷、北中城、西原、北谷、那覇の5市町村にとどまる。

具体的な検討が進んでいないところが多く、調整不足などから意見書案を否決した議会もある。識者からは「悲惨な地上戦を体験し、過重な基地を抱える沖縄の議員らの当事者意識が問われている」との声も上がっている。
 解釈改憲による集団的自衛権行使に反対する意見書を県内で初めて可決したのは読谷村議会。4人が退席して全会一致で可決し、「恒久平和、平和的生存権、戦争放棄の立場から強く反対する」と行使容認に明確に反対した。
 那覇市議会は解釈改憲による行使容認を目指す安倍政権に抗議し、慎重審議を求める意見書を賛成多数で可決。「基地と隣り合わせの生活を送る多くの県民が他国の戦争に巻き込まれないか不安と危惧を抱いている」と指摘した。北中城、西原、北谷の3町村議会は慎重審議を求める意見書を全会一致で可決した。
 一方、宮古島と豊見城の2市議会では議員提案された意見書を否決。革新系議員の提案に対し、保守系議員らが反対した。
 県内議会の動向に関し、沖縄国際大の照屋寛之教授(行政学)は「もっと当事者意識を持つべきだ」と求めた上で、「地上戦を体験し、基地が集中する沖縄に集団的自衛権の問題は大きく関わってくる。県民の意見をくみ取った議論が各市町村議会にも求められている」と指摘している。