港川女子 団体2冠 県中学総体・空手道


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第17回県中学校総合体育大会空手道競技が5日、県立武道館で行われた。女子の港川は団体形と団体組手を制して2冠を達成した。

男子団体形は越来が優勝し、同組手は大宮が頂点に立った。個人戦は男子形で高良蒼空(那覇)、同組手で田村斎喜(具志川東)、女子形で東江茜奈(美東)、同組手で玉城稜(大宮)が栄冠を手にした。

◆上段蹴り 勝利へ執念/女子組手 港川・久場 終了間際の大逆転
 港川の久場麗佳は攻撃の手を緩めなかった。女子団体組手の決勝、1勝1敗で迎えた大将戦。追い掛けるのはわずか1点。時間は刻一刻と過ぎていく。「攻めなければ試合が終わる」。残り13秒、逆転を狙って繰り出したのは上段蹴りだった。「あまり練習したことがない技なので決まると思わなかった」。審判の判定は一本。3点を奪って試合をひっくり返した。
 女子団体の形を制して、組手では2冠が懸かっていた。先鋒(せんぽう)は主将の上地日向。開始直後に突きを受けて1点を先制されたが、裏回し蹴りで一本を決めてすぐさま逆転した。同点に追い付かれても再び裏回し蹴りで一本を奪った。「同世代の選手では大きい方」と言う162センチの身長から繰り出す足技で勝利を決めて、「チームに勢いを与えられた」と達成感をにじませる。
 中堅の松原舞奈は敗れたものの「ほかのみんなが勝てるように一生懸命応援した」。チームの勝利のために声援を送り続けた。大将の久場は「1勝1敗で回ってきたので、ここで勝たないと1位になれない」と気合を入れた。試合の序盤に1点を奪われて「焦りもあった」と振り返るが、「絶対に勝つ」と意地を見せた。
 上地主将は「形でも優勝できて自信になった」と2冠の達成を喜ぶ。久場は「全国では負けたチームの思いも背負って戦ってベスト8に入りたい」と目標を掲げた。
(平安太一)

◆越来、男子形V 一糸乱れず技に切れ
 男子団体形の決勝、越来が圧巻の演武を見せた。一糸乱れぬ動きと切れ味の鋭い技で4―1の圧勝。「決勝が一番いい動きをしていた」。新城孝弘監督は満足そうに目を細めた。
 中頭地区大会の決勝は苦杯をなめた。スーパーリンペイを披露したが、「技がずれて決めるべきところで決められなかった」と主将の新城龍士郎は言う。結果は準優勝だった。
 悔しさを胸に挑んだ県大会は、準決勝と決勝でスーパーリンペイを選んだ。「地区大会では自分がずれてみんなに悔しい思いをさせた」と言う金城魁は「少し怖かったけど練習通りにやった」。1年生の平良仁は「先輩たちに追い付けるように今日まで練習してきた」と最後まで集中力を切らさなかった。
 新城主将は「ミスをせずにちゃんと形ができていた」と納得の様子。全国に向けて「みんなが100パーセントの力を出せるように努力を続けたい」と気持ちを新たにした。

◆男子組手、大宮に栄冠
 男子団体組手決勝の大宮は、大将の河原崎武蔵が接戦を制して勝利を呼んだ。序盤に得意の蹴りを決めて以降は「練習してきた」と言う突きでポイントを重ねた。「突きがきれいに入ったことが良かった」と笑顔で語る。
 先鋒(せんぽう)の岸本大史は150センチと小柄ながら、スピードを前面に押し出して戦った。上段突きで主導権を握って勝利し、「調子が良かった」と口元を緩める。中堅の又吉康雅は格上の相手に勝利こそ逃したが、「胸を借りるつもりで攻め続けた」と振り返る。
 河原崎は中段蹴りで先制した後、同点に追い付かれる苦しい展開だったが、突きを効果的に決めて勝ち越しに成功した。全国に向けて「突きから蹴りにつなげる練習をもっとやりたい」と力を込めた。

女子団体組手決勝 力強い蹴りで相手を攻める港川の久場麗佳=5日、県立武道館(山城博明撮影)
女子団体の組手と形を制した港川の(左から)久場麗佳、上地日向、松原舞奈
男子団体形の決勝で息の合った演武を披露する越来の(左から)金城魁、新城龍士郎、平良仁