自立生活を応援 県内不動産3団体、保証人なしで賃貸契約


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「巣立ち居住サポート」事業の概要

 児童養護施設や自立援助ホームの出身者を対象に、県内の不動産関係3団体がこのほど、自立生活を応援する「巣立ち居住サポート」事業を発足させた。アパートを借りる際に保証人が見つからなくても、保証人不要で賃貸契約できる。

保証人の確保が難しく、家主にも敬遠されがちで退所後のアパート探しに苦労する施設出身者が多い中、支援事業によって賃貸住宅が円滑に借りられる仕組みが整った。
 事業を3月に発足させたのは、沖縄大家の会(下地潤栄代表)と沖縄大家塾(宮城裕代表)、レキオス(宜保文雄社長)。5月には、石嶺児童園出身者で10代の女性が事業を活用し、入居を決めた。
 大家の会は147人の家主で構成される。大家塾は家主を対象に勉強会を開いている団体。レキオスは、家賃保証のほか、那覇市など自治体から委託され、高齢者や障がいのある人たちの入居を支援する事業を手掛けている。
 事業は、大家の会会員や趣旨に賛同する管理会社の所有物件を中心に部屋を探すほか、家賃保証、入居後の生活相談サービスの3本柱を展開する。対象は18歳から20歳までで、家賃・入居費用を支払える見込みのある人。万が一、入居中に家賃の支払いが困難になった場合には、一定範囲内の金銭を保証会社が立て替える。
 法律上、児童養護施設は高校卒業後の原則18歳で、自立援助ホームは20歳になる前に退所しなければならない。経済的な理由などから実親が保証人を担えない場合は施設長が保証人を肩代わりしている事例もある。保証人がいないため、最初から寮付きの学校や就職先を選ぶなど退所後の選択肢が狭められている課題がある。(高江洲洋子)

<用語>児童養護施設
 保護者のいない児童や親が病気だったり、虐待したり、生活困窮だったりするなど、さまざまな事情から養育が難しい児童を受け入れる入所施設。自立援助ホームは児童養護施設を退所した人か都道府県知事が必要と認める20歳未満の児童が対象で、共同生活しながら、生活指導や就業支援を受ける施設。