県内九条の会、安倍政権に危機感 護憲へ決意新た


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 県内には、平和憲法を守ろうと活動している「九条の会」が35団体ある。政府は1日の臨時閣議で従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認すると決定した。国会は14、15の両日、衆参両院予算委で安倍晋三首相が出席しての集中審議が行われる。県内各地にある「九条の会」関係者らは「諦めたら政府の思うつぼだ」と平和憲法を守る決意を新たにしている。

 「九条の会」は2004年に作家の大江健三郎氏らが発足させた。平和憲法を守ろうという呼び掛けに各地の市民が呼応し、11年11月時点で全国に7528の関係団体が存在する。県内では、ネットワーク九条の会沖縄が05年2月に発足して以来、現在は35団体が組織されている。
 07年1月に結成された大宜味村憲法九条を守る会は学習会などの開催や、東村高江の米軍ヘリコプター着陸帯建設反対の座り込みなど活発に活動している。今後、集団的自衛権の容認撤回を求めて署名活動などを予定している。
 1944年8月、県外疎開のために対馬丸に乗船し、一命を取り留めた体験を持つ世話人代表の平良啓子さん(79)は「憲法9条を守ろうと会をつくったが、政府は解釈でほじくろうとしている」と危機感を強めている。「安倍首相は簡単に『責任を持つ』と言うが、戦争の悲惨さを本当に分かっているなら戦争をできる国にしようと思わないはずだ」と指摘した。
 ことし2月に結成され、県内では一番新しいうるま市具志川九条の会の宮城英和事務局長(65)は「個人ではできることに限界があった。会をつくったことで情報も入り、行動もしやすくなった」と結成の意義を話す。集団的自衛権について、個別の声明発表や市議会への働き掛けも検討している。「反対の声を上げ続けることが一番大事だ。諦めてしまえば政府の思うつぼだ」と決意を新たにした。
 みやこ九条の会の三浦春彦事務局長は、宮古島への陸上自衛隊配備が検討されていることを踏まえ「最初に標的にされる」と強い懸念をあらわにした。「これまで50年以上かけて培ってきた政府の了解事項を、密室の協議を経て一内閣の閣議で決めるのは非常にファッショ的だ」と批判し「南西諸島への自衛隊配備と集団的自衛権行使は根っこは同じ問題だ」と指摘した。
 (沖田有吾)