【島人の目】「独立宣言」を読みなさい!


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 7月4日は、アメリカの独立記念日。英国からの独立を果たすため、トーマス・ジェファソンが起草者となって作成された独立宣言の原本は、ワシントンDCの国立公文書館のブロンズのケースに入れられ、一般公開されている。それは、羊皮紙に書かれ、色あせてはいるが、保存状態は良好とのこと。

 さて、この独立宣言は、冒頭に「すべての人間は平等につくられている。創造主によって生存、自由、そして幸福の追求を含む権利を与えられている」等の基本的人権について記されている。さらに「権力乱用と権利侵害が度重なる時、そのような政府をなげうち自らの将来の安全を守ることは人民にとっての権利であり義務」と続く。その後には屈辱的な権利侵害の事例に触れ、時の英国王の暴政と議会、そして英国人への苦情が長々と書かれている。238年前、この独立宣言は公に厳粛に宣言され、米国民が独立を勝ち取るための理念となった。
 独立記念日の祝日に定番のピクニックやコンサート、そして花火を楽しむのもいいが、アメリカの政治家や軍人、そして沖縄関連に携わる役人には、ぜひこの「独立宣言」を熟読してもらいたいものだ。そして自分らの祖先が英国の圧政で不平等に扱われた屈辱の思いを肝に銘じてほしい。
 わが故郷が、戦後アメリカ軍によってブルドーザーで土地を強制接収されて以来、現在も相も変わらず軍事植民地化されたままでいる現状。そして、命まで脅かされる基地の弊害に苦しんでいることを、自国の建国前の状況と重ねて考えてもらえたらと思うのは稚拙過ぎる話だろうか。新基地建設が決行されそうな沖縄の事態に、反基地を表明する心ある米活動家たちは「沖縄の人は非暴力的な方法で沖縄の軍事的植民地化を終わらせようとしている」と発言している。
 ことしの独立記念日の休日は、辺野古や高江で闘う人々に声援を送りたい思いでいっぱいになった。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)