琉球新報社 
都市対抗野球大会第４日は２１日、東京ドームで２回戦が行われ、県勢初の１勝を目指した沖縄電力はホンダ鈴鹿（三重県鈴鹿市）に２―３で敗れた。昨年の日本選手権を制した新日鉄住金かずさマジック（君津市）と日本新薬（京都市）ホンダ鈴鹿（鈴鹿市）が３回戦に勝ち進んだ。
沖電は二、三回に１点ずつを失ったが、五回に平識一樹が右越えの同点２点本塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。エース狩俣穏が粘りの投球を見せたが、投手が代わった八回、三塁打を足掛かりにスクイズでホンダ鈴鹿に勝ち越し点を奪われた。新日鉄住金かずさマジックは加藤が７回無失点と好投し、初出場の永和商事ウイング（四日市市）を４―１で退けた。日本新薬は新日鉄住金東海ＲＥＸ（東海市）に４―３で逆転勝ちした。
沖縄電力 ２―３ ホンダ鈴鹿
【評】沖縄電力は先発・狩俣穏の立ち上がりが安定せず、二回に四死球と安打で１点を奪われた。三回は三塁打の直後にボークを取られて追加点を与えた。五回に平識の本塁打で同点に追い付いたが、その後は好機をつくりながらも生かせなかった。八回に継投した仲宗根が三塁打とスクイズを許して１点を失った。ホンダ鈴鹿は毎回のように安打を放って着実に得点した。
（平安太一）
◆相手が上
小川勝司監督（沖電）の話 大勢の応援団の前で県勢初勝利を成し遂げたかった。先頭打者を出して犠打で送る自分たちの野球ができなかった。（決勝点の）スクイズはしっかりと決めた相手が上だった。長打力の向上を目指して練習してきた成果は（平識の）本塁打で出た。
◆本当悔しい
平田太陽主将（沖電）の話 チャンスでもう一本が打てなかった。本当に悔しい。全国で勝つためには足りない何かがある。みんなで相談して次につなげたい。
◆粘るも遠い１点差／大舞台糧にさらに前へ
つかみかけた勝利は目の前をすり抜けていった。２年連続で都市対抗野球大会の本戦に駒を進めた沖縄電力は、先制されても食らい付く粘り強い試合を展開した。しかし好機であと一本が出ず、１点差で涙をのんだ。「県勢の初勝利を願っていた県民に申し訳ない」。悲願の１勝を手にすることができず、小川勝司監督は肩を落とした。
昨年の大会でわずか３安打と沈黙した打線は成長した姿を見せた。０―２で迎えた五回１死一塁、平識一樹が初球を捉えて同点本塁打を放った。この試合３打数３安打の平識は「冬場のトレーニングの成果が出せた」と言う。小川監督も「選手にとってワンステップレベルを上げた試合だった」と感じている。
打線が活気づくことで好機も生まれた。七回２死から比嘉淳太が中前打で出塁すると、平識が四球を選んで一、二塁とした。九回は１死から代打の金城長靖が中前打を放った。しかし、いずれも後続が断たれて得点に結び付かなかった。
「ここぞという時の決定打が課題だ。精神面の強化もやらなければ」と小川監督の表情は険しい。平識も「結果をしっかりと受け止める」ときっぱり。大舞台だからこそ見えてきた成果と課題、そして敗戦の悔しさとともに沖電ナインは前に進む。（平安太一）
