県知事選、保守3分裂へ 下地氏も出馬意向


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(左から)翁長雄志氏 仲井真弘多氏 下地幹郎氏

 11月16日投開票(10月30日告示)の県知事選に向け、野党の選考委員会は25日、翁長雄志那覇市長(63)の擁立を目指す那覇市議会の自民党議員らと協議し、共闘を確認した。一方、出馬を検討していた政党そうぞう代表の下地幹郎元郵政民営化担当相(52)は同日、出馬の意向を表明した。これに対し、与党の自民党県連は26日に現職の仲井真弘多知事(74)の擁立を正式に決定する予定だ。米軍普天間飛行場の移設問題が最大の争点となる知事選は、従来の保革対立が崩れ、保守勢力が三つに割れる構図となってきた。

◆翁長氏 与野党が「協定」合意
 翁長雄志那覇市長の擁立を目指す県議会野党の候補者選考委員会と那覇市議会自民党新風会の市議らは25日、知事選候補者と結ぶ予定の「基本姿勢および組織協定」内容に合意した。経済界関係者を含めた合同会議を持ち、知事選準備を進めることも決めた。野党選考委は26日に翁長氏の擁立を正式に発表し、8月中旬に出馬要請することも確認した。
 翁長氏は出馬の意向を関係者に伝えており、9月上旬に出馬表明する方向で調整が進んでいる。野党選考委はこれまでに、最終選考に残っている翁長氏、高良鉄美琉大教授とそれぞれ接触し、出馬に向けた意思を確認していた。
 合同会議は8月3~4日の日程で実施する予定。米軍普天間飛行場や名護市辺野古を視察し、政策や選挙対策について意見交換する。
 基本姿勢は普天間の辺野古移設について「埋め立て承認を撤回する」という野党側の当初案を修正し、「埋め立て承認の撤回を求める県民の声を尊重し、辺野古新基地を造らせない」という表現で合意した。そのほか環太平洋連携協定(TPP)や消費税増税、集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲などに反対する姿勢を盛り込んでいる。
 野党選考委の新里米吉座長は会合後、那覇市内のホテルで翁長氏と会談し、知事選に向けて意見交換した。会談後、新里氏は「いい話ができている」と話した。

◆仲井真氏 自民きょう正式要請
 自民党県連は26日午前、那覇市内で総務会を開き、仲井真弘多氏の擁立を正式決定する。総務会終了後、幹部が知事公舎に仲井真氏を訪ね、3選出馬を要請する段取りだ。既に立候補の意向を事実上表明している仲井真氏は、県連の要請にさらに踏み込んで応じるとみられる。
 仲井真氏は8月7日に那覇市内のホテルで記者会見を行い、正式に立候補を表明する見通しだ。その後、政策発表などを予定している。
 出馬表明の会見には仲井真氏を支援する市町村長、経済団体代表らも同席する予定。8月中に選挙母体を発足させ、9月の統一地方選の候補者応援と並行させ、知事選に向けた動きを加速させる。
 仲井真氏は後援会や経済界などからの出馬要請に「もう1回チャンスをいただき、仕事をやってみたい」などと述べ、出馬に強い意欲を示してきた。

◆下地氏 そうぞう離党を決定
 下地幹郎元郵政民営化担当相は25日午後、政党そうぞうの緊急拡大役員会で「沖縄を良くしたいという強い思いで選挙に臨みたい」と述べ、知事選に出馬する意向を明らかにした。31日に記者会見を開き、出馬を表明する見通し。
 役員会では下地氏の代表辞任と離党を全会一致で承認した。下地氏は無所属で出馬する意向。役員会後、記者団に対し「新しい政治スタイルをつくっていこうと思っている」と話した。
 そうぞうの當間盛夫代表代行は会見で「一緒に戦っていく。全力で支える」と述べ、党として下地氏を支援する方針を示した。
 そうぞうは橋下徹大阪市長が代表を務める大阪維新の会と政策協定を結んでいるが、下地氏は「政党の枠組みを超えないといけないとの思いが強い」と話し、政党の公認、推薦は求めない考えを明らかにした。