海洋研究開発機構(JAMSTEC、神奈川県)は26日、那覇市から北西約150キロ沖合の伊平屋北海丘で、海底下に沖縄近海最大の熱水湖が存在する可能性があると発表した。推定される熱水湖は、同海丘でこれまでに発見された3カ所の熱水活動域にまたがる。亜鉛や鉛など複数の海底資源を含む熱水鉱床が、より広範囲に及ぶ可能性が示された。
調査は14~26日、地球深部探査船「ちきゅう」(全長210メートル、5万6752トン)で実施した。掘削しながら抵抗性などのデータを収集することで、地層の粘性や組成などを予想できる「掘削同時検層」の技術を用い、3カ所の熱水活動域にまたがる計6カ所で150~350メートル掘削した。そのうち2カ所では同時に鉱物も採集した。6カ所の地層や採集物質の性質が類似していることなどから、JAMSTECは海底下に南北約5キロ、海域によっては東西に3~3・5キロに及ぶ熱水湖の存在を推定した。
JAMSTECの高井研農学博士は、実証に向け「東西方向ではほぼ実証できた。南北方向はまだ掘削箇所が足りないので、来年以降ぜひ取り組みたい」と意欲を見せた。さらに「掘削同時検層による鉱物の予想と実際の採集物がほぼ同じだった。熱水鉱床の開発に応用可能な劇的なツールになる可能性がある」と新たな調査法の確立も高く評価した。
英文へ→Large hydrothermal deposit found off coast of Iheya Island