県知事選 告示まで3ヵ月 3氏、態勢構築急ぐ


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 任期満了に伴う県知事選(11月16日投開票)は10月30日の告示まであと3カ月に迫った。現職の仲井真弘多氏(74)は3期目を目指して立候補する考えを表明しており、8月7日に出馬会見を開く予定だ。

これに対し、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志那覇市長(63)も出馬の準備を進めている。一方、政党そうぞう代表の下地幹郎元郵政民営化担当相(52)は31日に立候補を表明する。仲井真知事の辺野古埋め立て承認後に行われる初の知事選で、辺野古移設の是非が最大の争点となる。保守・中道勢力が分裂、三つどもえとなる過去に例のない選挙に向け、3氏は枠組みの構築を急いでいる。

<仲井真氏>保守系首長強い支援/自民本部・公明の対応課題
 仲井真弘多氏は26日に自民党県連の出馬要請を受け、出馬を明言した。8月7日に記者会見する準備を進めており、近く、選挙母体となる県民の会の発足や選対本部の設置、政策発表、事務所開きなどを行い、選挙戦に備える。辺野古の埋め立て承認に反対した与党の公明党県本が態度を決めていないため、自公協力の構築が最大の課題となる。
 自民党県連は26日に仲井真氏擁立を決定し、正式に出馬要請したが、党本部の石破茂幹事長は「公明党と一緒にやれるか、県連がどのように考えているか、まだ一切聞いていない。よく聞いて判断する」と述べるにとどめている。
 石破氏の発言について県連内では「独自調査の結果が厳しいので仲井真氏の擁立に難色を示した」という受け止めや、「本部は県連の方針を尊重する。公明と連携できていないことにくぎを刺しただけだ」という見方が交錯している。
 公明党は9月7日の統一地方選を目下の最大課題としており、表向きは統一地方選後まで知事選対応を明らかにしない方針だ。一方、仲井真氏に対しては保守系の首長らが沖縄振興予算の確保や一括交付金制度の創設、普天間飛行場の5年内運用停止の要求などを評価し、強く支持している。

<翁長氏>保革から高い期待/辺野古の文案変更に懸念
 普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志那覇市長に対しては、市議会最大会派の自民党新風会が6月に出馬を要請した。県議会野党の候補者選考委員会も擁立を決定、8月11日に出馬を要請する予定だ。
 翁長氏は9月8日の市議会9月定例会で出馬を表明する方向で準備している。保守層を加え、辺野古反対でつながる「脱革新共闘」で臨む初めての選挙となるため、保革の選挙運動の違いをどう擦り合わせるかが課題となりそうだ。
 野党の選考委は翁長氏と結ぶ「基本姿勢および組織協定」で、辺野古に関する文言を「新しい知事は辺野古埋め立て承認を撤回する」から、「埋め立て承認の撤回を求める県民の声を尊重し、辺野古新基地は造らせない」に変更した。
 変更は「表現が厳しい」という保守側の要請に応えた形だ。承認撤回という手法にこだわらず、辺野古移設を阻止するという考えも含まれているが、従来の革新支持層からは「トーンダウンした」と批判の声もあり、関係者はそうした懸念の払拭(ふっしょく)にも努める。
 保革一体となる選挙戦に向け、県議会野党会派と保守系の那覇市議団は8月上旬に合同会議を開き、対策を練る予定。知事選の態度を明らかにしていない公明党への接触も続ける。

<下地氏>首長らに支持求める/立候補に懐疑的見方も
 前衆院議員の下地幹郎氏は、自身が立ち上げた政党そうぞうを離党し、政党の支援を受けない形で知事選に臨む意向を示している。31日に出馬を表明する。普天間飛行場については、最近出した政策集の中で、暫定的に嘉手納統合や辺野古移設を認めた上で、将来的には県外移設を目指すと訴えている。
 下地氏は「政党の枠組みを超えないと駄目だという思いが強い」と述べ、出馬するなら無所属で戦う考えを説明しているが、幅広い支持を求めて一部の首長や元政治家らへアプローチしている。そうぞうの當間盛夫代表代行も「一緒に戦っていく。全力で支える」と述べ、党として下地氏を支援する考えを示している。
 ただ下地氏は過去に出馬の意向を示しながら立候補を見送ったことがある。県議会の与野党双方が「今回も最終的には出ない」と冷ややかな視線を送っているが、下地氏周辺は「今回は本気だ」と強調している。