【ドイツ】紅型の技法を紹介 県系の諸見里さん


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大学の研究室で紅型を紹介する諸見里イーゴル真さん(左)と、友人のアナ・リトンさん(中央)、セーヨン・ジュングさん=7月22日、ドイツケルン市のケルン・メディア芸術大学

  
  ドイツのケルン大聖堂近くにあるケルン・メディア芸術大学の大学院課程でアニメーションを専攻する諸見里イーゴル真さん(31)はブラジル・サンパウロ出身。趣味で続けている紅型を大学の友人らに紹介している。デュッセルドルフ市で7月30日から3日間の日程で開かれた「第3回世界若者ウチナーンチュ大会 ドイツ・2014」に参加し、ブラジル代表として移民の歴史やブラジル沖縄県人会についてなど発表した。

 県系2世でサンパウロ州立大学で造形美術を学んだ諸見里さんは2009年に県費留学生として来県。県立芸大で1年間、聴講生として紅型や木版画、和紙作り、アニメーションなどに関心を深めた。ドイツに来て4年、卒業後もここで働きたいと考えている。沖縄から持参した顔料などを使い、趣味で続けていた紅型に同大の友人らが興味を持ったことから、大学の研究室で紅型のワークショップを開いた。
 6月26日に技術や工程をビデオなども用いて友人15人に説明し、7月4日には9人が作品制作に取りかった。参加者は型紙作りからのり付け、染めなど体験した。ドイツ人のアナ・リトンさんは裏返して重ねたティーカップでスカートを表現。折り紙の鶴のデザインを入れ、布のバッグに色付けした。韓国人のセーヨン・ジュングさんは自身のアニメーション作品に登場する男女を紅型で描いた。今後背景を完成させる予定だ。2人は「のりや豆乳など自然の素材を使うのが素晴らしい」「紅型の型染めは特別な技法」などと興味深そうに話し、諸見里さんは「沖縄の紅型をこのように紹介でき、喜んでもらえてうれしい」と笑顔で話した。
 諸見里さんの両親は幼いころブラジルに渡り、祖父母から日本語を学んだ。母国語はポルトガル語で、そのほかドイツ語と英語を話す。世界若者大会では日独の通訳もした。大会を終え「このような大会の場があるのは大切なこと。若い参加者の大きなエネルギーを感じた」と語った。
(田中由希香通信員)